S1:意見の出ていないものをまだ消さなくていいと思います。 S1の子どもの発言により,意見が出ないからなくすのではなく,もっとみんなで考えてよりよい活動にできないかを話し合う流れになった。途中で,副議長が話し合う時間を取ったことでで,意見が言いやすくなった。その後の「話し合うこと2」では,まず「話し合うこと1」の内容を聞いて自分で入りたい係を選んだ。そして,希望者の少ない係をどうしていくかの話合いになった。みんなの意見から,少ない人数の係同士の内容を合わせて活動することに決まった。少ない人数の係を選んだ子の意見も聞きながら,だいたい四人前後で係活動が決まっていった。「話し合うこと3」では,係ごとに分かれてめあてや活動内容,係のリーダーを決めた。 議題:やさしい言葉かけをして, みんなが協力できる 話し合うこと 1.パーティでする遊びを決めよう 2.本当にそれが学級目標に近づくか考えよう 3.役割を決めよう 話合い活動の前日に計画委員が決まったことを学級のみんなに伝え,事前に自分の考えを学級活動ノートに書く時間をとった。3回目ということもあり,この活動も計画委員が自ら考え行動した。 1・2回目共に,話合い活動において意見が出にくいといったことが課題であった。その要因を担任教員と探ると次の二点であると考えられた。一つ目は,議題が子どもたちのものになっていなか話合い活動の「話し合うこと1」では,計画委員がみんなから出た係の活動を伝え,その活動にさらにどんな工夫を加えればよりめあてに近づけるかについてみんなで話し合うことになっていた。しかし,最初はその意図がうまく伝わらず,その係ではどんな活動をするのかについて,係を提案した人に質問ばかりしていた。担任教員の助言もあり,少しずつ工夫できることについての意見を出す子どもが出てきた。 途中で議長が,意見を整理するために,意見の出ていない係をなくしてもいいかということをみんなに聞くと,次のように答えた子どもがいた。 第1回と比べると話合い活動の進行や流れについて理解していたためスムーズに進んでいった。しかし,話し合う内容がみんなのものとなっていなかったため,活動内容を練り上げるというより,それはどのような活動かといった質問をする子どもが多くあった。また,全体的に見て一回目同様意見が出にくく課題となった。しかし,少数派の意見もどうにかして生かしていこうというような意見が出てきたところに第1回目との変化が見られた。 ●第3回 「学級目標に近づくためにどうしたらよいか考えよう」 出ていないものも,もっとよくする方法をみんなで出し合 った方がいいです。 小学校 特別活動 15 ったということ,二つ目は,学級を自分たち創り上げていくものだという意識があまりもてなかったことである。そこで今回は,できる限り子どもたち主体で活動する場を増やすことにした。また,この頃には係活動が子どもたちの自治的な活動になってきていたので,その経験を学級全体でも生かしていけるだろうと考え,1・2回目より多くの場面で子どもたちに任せる部分を増やすことにした。そうすることで,子どもたち同士で話し合いながら自治的に活動することができ,ステップアップするきっかけになると考えたからである。 今回特に重視したのが,子どもたちが学級の現状を見つめ,課題を見つけることができるようなきっかけをつくることである。そのために行ったのが,「学級目標・行動目標達成度調査」である。これは,学級目標が指し示す具体的な行動を文章に表わし,個々がチェックできるようにしたものである。その調査を3回目の活動前に行い,集計し,可視化できるようにグラフに表した。 話合い活動の前に,計画委員がグラフを見て感じたことを話し合う時間を取った。それは,目的意識をもって活動に取り組むことができるようにするためである。この計画委員の話合いは担任教員が進行した。話合いの中で計画委員からもっと達成度を上げていきたいという意見が出た。計画委員の意見を基に学級みんなにもこの現状を伝え,次の話合い活動で話し合う議題を集めることにした。議題集めや議題選定時から,担任教員が話合いを進行するのではなく,計画委員で進めるように伝え,担任教員はその活動を見守った。学級みんなの意見には「みんなが協力して絆を深められるようなパーティをしたい」「やさしい言葉をかけあってみんなが笑顔になれるようなお楽しみ会がしたい」などがあった。それらの中から,計画委員で話合い活動の「議題」や「話し合うこと」を決めた。それが次のとおりである。 パーティの内容を考えよう
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