図2-6にあるように,フィードバックでは,それぞれの役割行動でよかったところと改善すればさらによくなるところを相互に評価し,伝え合うことが大切だと考える。相手に自分のがんばりを認めてもらったり,アドバイスをもらったりするォロアーシップを育てることである。つまり,リーダーを盛り立てて押し上げる,リーダー以外の子,「フォロアー」を育てるということである。辻は(31),フォロアーを育てるためには,全員をリーダーにしてみるのがよいと述べている。それは,様々な子どもがリーダーになり,活動する中で,「集団が前進するには自分たちでリーダーを支える必要がある」ということに気付き始めるようになると述べている。 つまり,それぞれがリーダーをしていくうちに,その大変さや,協力してめあてを達成させていく喜びを感じ,フォロアーとしてすべきことに気付くのである。そうなると,それぞれの思いを理解し合うことができ,役割に関係なく協力していくことの大切さに気付くだろう。また,今回のリーダーは○○さんだから,自分はこういうフォローをしていこうなど,相手のことをより理解し,助け合うことができると考える。 リーダーを輪番で行う上で,舘野(32)はよいリーダーシップ行動とはどのようなものかの持論をもつことが大切だと述べている。例えば,「自分から動く」や「相手の気持ちを配慮する」など人によって違うだろう。リーダーシップ行動をとった後に,周りの人が相手の役割行動についてどう思ったかを伝える「フィードバック」と,それを受けて持論を振返り,次につなげる「振返り」の機会をとることが大切だとも述べている。今回は,相互理解をすることを特に重視するので,リーダーとフォロアーの両方の持論を持つことが大切だと考える。その過程を筆者がまとめ,図2-6に表したものである。 小学校 特別活動 11 (22) 前掲(14)pp..44~45 ことが,次の改善意欲につながると考える。 しかしながら,実際に取り組む際,輪番で役割体験をする活動すべてに,授業時間を確保するのは不可能である。そこで,今まである活動に工夫を加えることが適当だと考える。例えば,係活動のリーダーなどを,期間を区切って輪番にするということや,計画委員の議長や副議長などの役割を輪番に行うなどである。役割を替えたものの何も活動をしないまま終われば意味をなさないので,リーダーが交替するごとに活動のめあてを立ててそれを達成していくことができるような活動がよいと考える。つまり,小さいSTPDサイクルをまわすというようなものである。 このように,それぞれが役割体験をすることを通し,お互いを理解し合い,それぞれのよさを生かすことができると考える。 (2)道徳科との関連 集団自治を意識した活動とは,子どもたちが「主体」の活動であり,放任していてもこのような自治的な活動ができる集団へとは育たないことを述べてきた。子どもたちによる自治的な活動を目指すためには,子どもたちが見つけた課題に取り組むことが大切であるが,その方向付けを行ったり,子どもたちだけではなかなか目を向けられなかった視点をもたせたりするような意図的な活動も一方では必要である。その方法としては,教員の思いを直接子どもたちに伝えるというものもあるが,他教科との関連を図りながら,子どもたちが自ら自分たちの生活を振り返る新たな視点をもてるようにすることも大切だと考える。そこで,重要になってくるのは道徳的価値の理解やそれに基づいた自己の生き方についての考えを学ぶ道徳科との関連である。解説特別活動編においても,道徳科と特別活動の重要性について記されている。(33)道徳科で学んだ道徳的価値の理解や自己の生き方についての考えを,特別活動での実践しより深めたり,また,特別活動で経験した道徳的行為や道徳的な実践について,道徳科の授業で取り上げて,道徳的価値として自覚できるようにしたりしていくというものである。 本研究では,子どもたちの活動がステップアップできるように,道徳科の学習を学級活動と関連付けて必要に応じ取り入れていきたいと考えている。 図 2-6 リーダーとフォロアーの相互理解の過程
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