るのが難しいことは,前述の「特別活動の課題」(p.5)でも述べた。しかしながら,そのような時間をしっかりと確保することで,話合いの方向性を一定にすることができ,結果として時間短縮になるのではないだろうか。また,子どもたちの達成感も大きくなるのではないだろうか。 このように,子どもにとって切実であり,解決したいと思えるような課題を取り上げ,それを共通理解することが,子どもたちの課題解決に向けての原動力になり,大切なことだと考える。 ●P「解決方法の決定・計画」 この活動は,子どもたちが現状を見つめ,発見した課題を解決する方法を考えたり,解決するための計画を行ったりする活動である。各々の考えを出し合う話合いの場である。意見と意見のぶつかり合いが生じることもあるだろう。そんな時にどのように折り合いをつけていくのかを子どもたちが学ぶことのできるよい機会だと考える。自分たちの力で,自分にも他者にもよい方法を見いだしていくことが求められるのである。この話合いが充実するかどうかが,後の活動に大きく影響するだろう。 全体での話合いが終われば,実践に向けての準備の場が必要になることがある。それぞれ役割や係に分かれて話し合いながら行うことが多い。また,その時間は授業時間ではなく,子どもたちが隙間の時間を有効利用しながら行う活動であることが多い。つまり,第1章第2節で述べた「時間割に位置づけられてはいないが,休み時間や放課後等を用いたa・bの活動の延長上の活動」(p.4)である。その活動では,子どもたちが自分の思っていることを言ったり,素の自分を出したりしやすい場である。子どもたち同士の横のつながりを強くしようと願うなら,このような場は大変重要な場であると言える。しかし,今までに教員が促さなければ準備が進まないといった経験はないだろうか。これは,その「スポーツ大会」の目的が子どもたちの間で共通認識されていなっかったり,本当にやってみたいことになっていなかったりした結果だと考えられる。そこでこの活動を充実させるためには,実践に至るまでの「話合い活動」の時間を充実させる必要があるだろう。 ●D「実践」 「スポーツ大会をする」という集会活動をすることに決まったのであれば,その大会が「実践」小学校 特別活動 9 A 教えて理解させ,やってみようとする雰囲気なり意欲なりを育てる段階 B 指導・援助を加えながら「実習」させ,その場その場で指導・援助し,必要な力を身に付けさせる段階 C 多少の失敗は見逃し,実際に子どもたちにある部分を任せて最後までやらせてみる。そして,あとの反省会でこまかく指導し,助言して必要な力を伸ばす段階 D Cの段階に習熟させ,それを定着させるために,任せる部分を増やしながら繰り返し活動を体験させる段階 にあたる。この実践では今までの計画や準備がきちんとされているかどうかが子ども達の満足度向上につながるだろう。実践でうまくいった経験やみんなで協力できた経験が次の活動意欲につながっていく。 (3)意図的・系統的に育む自治的な学級集団 進んで関わり合い高め合う学級集団は,どのような集団なのだろうか。「はじめに」で述べた,リレーのチームのような,同じめあてに向かってみんなで協力し合い,課題を解決することのできる集団ではないだろうか。つまり第2項のSTPDサイクルを子どもたち主体で行うことができる集団である。赤坂は,チームとは,「1人ではできない課題を,よりよい関係を築きながら,解決していく集団(25)」と述べ,学級をチームにしていく必要性を述べている。また,学級をチームにするためには,子ども同士の活動が成り立つ必要があり,教員が仲介しないと活動が成り立たないようでは,チームとしての活動は期待できないと述べている。(26)つまり,子どもたちが教員の力を借りず,自分たちの力でやりきる,子ども「主体」の集団活動に取り組んでいく必要があると考える。そのような活動に取り組み,個々の自治的な能力が高まれば,集団が変わってもうまくやっていくことができるだろう。今の学級だから,今の担任だからできるのではなく,どんな集団になってもうまく関わっていくことができる力こそ必要であると考える。 しかし,いきなり子どもたちの力ですべてを成し遂げるのは難しい。そこで,子どもたちの実態や発達段階に応じて,教員の段階的な関わりや指導が必要である。杉田(27)は,自治的な活動は「放任しておいたのでは育たない」と述べている。そして,「段階を踏んで『育てるもの』だと述べて,その段階を次のように示している。
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