性を述べている。図2-4は,その杉田の考えを図に表したものである。 STPDサイクルの中で,課題が子どもたちの「解決したい」という活動の原動力につながるような取組にするためは,次の二つが重要であると考える。一つ目は,子どもにとって切実であり,解決したいと思えるような課題であるということで,二つ目は,学級で取り上げた課題を学級で必ず共通理解することである。 まずは前者について詳しく述べていく。子どもたちにとって切実で解決したいと思うことのできる課題に取り組むためには,その課題が子どもたちによって見つけられたものであることが必要だ。しかしながら,そもそも課題を自分たちで見つけて解決していくことができるという経験をしていなければ,課題を見つけようとする視点をもつことができないだろう。よって,STPDサイクルを習図 2-4 振返りの四観点 に「集団」「個人」をとっている。AやBは集団としての視点であり,Aは集団として目標が達成できていたのか,Bは集団活動の結果集団はまとまったかというものを振り返る。CやDは,個人としての視点であり,Cは,自分は集団にどれだけ貢献できたか,Dは,自分は集団での居心地がよくなったかを振り返るものである。とりわけAとCの視点を可視化し全体で共有化することで新たな課題を見つけることができるだろう。例えば,今回の活動を通し自分は学級目標に対しどれだけ到達できたのか,またみんなはどうであったのかなどを振り返るものであると考える。もちろんこれは個々の主観であるが,その主観こそが子どもたちの次の活動への原動力なると考える。それらを全体の場で出し合ったり,時には結果を数値化したりして可視化することで次の課題を共通認識できると考える。またそれらの振返りを貯蓄できるようなワークシートやノートを使うことで,学級集団や自分自身がどのように変化してきて,今は何が課題であるか子ども自身で見取ることができ,次の課題を見つける意欲につながるだろう。 ●T「分析・課題発見」 小学校 特別活動 8 慣化し,課題は自分たちで見つけるものであり,解決していくことができるという認識をしていく必要がある。また,課題の最後には,次の活動につながるような振返りをしていくこと課題を見つけることの習慣化につながる。 図2-4から分かるように,課題達成機能と集団維持機能を横軸にとり,縦軸さらに,子どもたちが取り組んでみたいと思った課題の幅を,教員が取り組んでほしい内容に狭めないということも重要だろう。集団自治を意識した活動にしていくためには,子どもたちにとって,取り組んでみたいと思う前向きな気持ちがわいてくるような楽しい課題に取り組むことが大切だろう。しかし,実際に学習中に取り組むとなると,「遊び」の要素が入るような活動よりも,学級の人間関係の問題やきまりを遵守させるための話合いに取り組ませたいと考えてしまうのではないだろうか。もちろん,それも大切な課題ではあるが,杉田は「学級・自治的活動」の原型は,「発達段階に即した子どもの健全な『集団遊び』である」(24)と述べている。子どもと遊びの関係は密接である。まずは,子どもたちが「やってみたい」と思えるような,遊びの要素が含まれたものにチャレンジしてみるのが主体的に取り組ませる第一歩であると考える。例えばお楽しみ会やスポーツ大会,クイズ大会などがそのようなものだろう。それを出発点として,もっと楽しく,生き生きとできる多様な活動に視野を広げていくことができるような取組にしていくことが大切だと考える。 次に,学級で取り上げた課題を学級で共通理解するということについて述べていく。それは,単に活動について共通理解するだけではなく,その活動の根源である,なぜその活動に学級として取り組む必要があるのかを共通理解することである。それが話し合う指針となり,進むべき方向となるためだ。例えば,お楽しみ会をするという活動であれば,お楽しみ会をすることが目的であってはならない。お楽しみ会を行うめあてを共通理解し,それを基にした話合いや実践をしなければ,日常の遊びと変わらなくなってしまう。集団を高める活動にはならないのである。お楽しみ会をすることは,そのめあてを達成するための手段に他ならないのである。めあてを決めてしまえば,それを基に活動を決めたり役割を決めたりすることができる。共通のめあてのもと,活動を進めているので,みんなで創り上げているという活動の原動力となる。 現在,様々な時間的制約の中で,めあてを決めたり,共通理解をしたりするための時間を確保す
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