001総教C030705H29最終稿(加藤)
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第1章第1節(2)で述べたように,それぞれの教科において探究的な学習の過程が例示されている。各教科等での実践が求められる探究的な学習であるが,本稿では次の二つの教科に着目して探究的な学習の在り方を考えていきたい。 単元を通じた習得・活用・探究の学習過程の中 で主体的・対話的で深い学びの実現を目指すこと は,子どもたちの学びの質の向上につながるとともに,授業改善の取組を活性化していく視点として,今後の学習を展開する上でも重要な要素であると考える。 社会生活についての理解を図り,我が国の国土と歴史に対 する理解と愛情を育て,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。(14) その目標を達成するため,社会的事象に対する疑問をとらえ,その疑問を解決する過程を通じて,社会的事象を理解し,因果関係を説明することができるように,概念的な知識の習得を目指す問題解決的な学習が行われている。平成28年の答申では,課題把握→課題追究→課題解決→新たな課題(15)といった問題解決的な学習の展開が例示されている。その過程を具体的に次頁図2-1に示す。図のように,問題解決的な学習の過程では,これまでに学習して習得したことを基に本時の問いに (6) 文部科学省『小学校学習指導要領解説 総則編』東洋館出版社 2008.8 p.2 (7) 文部科学省『小学校学習指導要領解説 総合的な学習の時間編』東洋館出版社 2008.8 p.13 (8) 米田豊『「習得・活用・探究」の社会科授業&評価問題プラン』明治図書 2011.6 pp..7~16 (9) 文部科学省『小学校学習指導要領解説 総則編』東京書籍 1999.5 pp..8~9 (10)文部科学省「中央教育審議会『幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)別添資料(2/3)』」http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/1380902_3_2.pdf 2018.3.2 (11)前掲(10) (12)前掲(2) pp..47~53 (13)前掲(2) 決に向けて思いや考えを創造したりする「深い学び」を実現することができると考えられる。 基礎的な探究と発展的な探究を通じて行われるこのような学習を経て,子どもたちの思考はより深まり,充実した学びを展開することができるようになるのである。習得・活用・探究の学習過程を上記のような視点から展開することで,今求められる授業改善の視点からも充実した学習を行うことができるのである。 以上のことから,先に示した図1-1と関連させると,主体的・対話的で深い学びは次の図1-2のように示すことができると考える。 小学校 学習指導法 4 1-2 習得・活用・探究と主体的・対話的で深い学びの関係 第1節 社会科・算数科における探究的な学習の一つは社会科である。社会科はその成立時より問題解決型の学習を展開し,子どもたちが社会的事象の問題を追究する探究的な学習の充実を図ってきている。これまでも探究的な学習の充実を図ってきた社会科であるが,その学習方法や考え方には様々なものが存在する。今後社会科ではどのような探究的な学習が望まれるのか考察する。 もう一つは算数科である。社会科と同じように問題解決を主とした学習を展開する教科である。これまでの算数科の実践では,毎時間の学習をどのように展開するか,1時間の学習の中でどのように子どもの確実な習得を目指すか,その時間の指導目標を達成するのか,という視点からの授業づくりが多く見受けられた。しかし,単元全体を俯瞰してとらえるとともに,単元を通じて意図的・計画的に習得・活用のプロセスを取り入れた学習を計画することで,より質の高い学習を展開することができると考える。そのような,算数科における探究的な学習の在り方について考察する。 (1)社会科における探究的な学習 現行の学習指導要領では,社会科の目標は次のように示されている。 第2章 探究的な学習の充実を目指して 過程

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