発展的な探究の学習場面で活用問題に意欲的に 取り組み,その問題を解いたことに対して達成感を味わい,自分の学びの成長を実感し,さらなる学びの意欲の高まりにつながったことが見とれる。記述には,これまでの学びを振り返り,その学びが活用問題を解くうえで必要であったことをとらえたものも見られる。発展的な探究の活用Aの場面で,これまでの習得Aが生かせたということであるが,これは基礎的な探究における習得aと活用aのサイクルで適切な習得Aがあったからこそ,活用Aの場面で生かすことができた結果であるととらえることができる。 また,実践後には学びの有用性を実感できているかどうかを質問したアンケートの結果が次頁の図4-9である。この単元で学習したことは,これからの自分の生活で役に立つ。」という質問に対し,肯定的な回答をした子どもの割合がA校では78%, ・実際にあるいろいろな面積を調べることができたから。 ・新聞紙を敷き詰めたりしたから。 ・身の回りにはいろいろな面積があり,それを測ったりもとめたりしてみたから。 ・ また,A校の自由記述には,次のようなものが多く見られた。 自分たちの身近な面積を多く取り上げて学習を展開したことにより,子どもたちは面積の学習を身近に感じるとともに,面積がどのようなものかを実感しながら学習をすることができたことがわかる。算数が実生活と結びつくことにより,算数がたのしいと感じる子どもの割合が増えた理由につながったと考えることができる。 図4-7,図4-8は発展的な探究の活用場面の設定に関連する質問項目に対する回答である。 図4-7 児童アンケート結果⑦ 図4-8 児童アンケート結果⑧ 「単元の最後にまとめの問題を解くことで,この単元で学んだことが生かせた。」という質問に対し,肯定的な回答をした子どもの割合は,A校では67%,B校では74%となった。発展的な探究の場面の設定は,子どもたちにとってこれまでにあ小学校 学習指導法 28 まり経験のない活用の場面であったが,約7割の子どもたちが学習してきたことを生かすことができたことを実感していることがわかった。また「今後はじめて出合う難しそうな文章問題なども,自分で考えて挑戦して解いてみたい。」という質問に対し,A校では60%,B校では80%の子どもたちが肯定的な回答を示している。習得した知識・技能を発展的な学習の場面の問題を解くことで活用することができ,そこに達成感を見出すことができた,さらにそのような取組をもっと行ってみたいと意欲をもつことができたためと考えることができる。自由記述欄にはA校B校,次のようなものが見られた。 <A校> ・これまでの学習をもっといろいろな面白いことに応用したいと思いました。実際にやってみると自分に自信がもてるからです。 ・これまでの学習を生かして解けたのでたのしかったです。小さな面積はもちろん大きな面積も解けたからです。 ・最初はもやもやしていて心配だったけど、やってみて解けてたのしかったからです。 <B校> ・これまでに分数の授業で習ったことを生かして,今日の問題に取り組むことができた。今日の学習でA・B・Cの箱が分数でも入れることができたから,これからもいろいろな分数に挑戦したい。 ・前までは分数のことを全く知らなかったけど,どんどん授業でいろいろな事を覚えて,今日やっと課題にしていた問題を前回までの学習を生かして解くことができました。自分で考え方を考えることもできました。 ・学習したことを覚えられていたので,それを生かして今日の問題に取り組めたし,簡単にできたからそれだけ覚えられたんだなぁと思いました。
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