図4-5 児童アンケート結果⑤ 図4-6 児童アンケート結果⑥ 校でより大きな上昇が見られたのは,単元の導入時に活用問題を提示し,その活用問題の解決を見通して学習計画を立てたことで,A校よりも学習の見通しをもつことができたためであると考えることができる。B校の自由記述には次のようなものが見られた。 学んできたことを生かした議論に意義を感じたり,授業の中で考えて終わるだけではなく,家族とも議論を展開したりする子どもも見られるようになった。自分から進んで社会のことについて考えてみようという意欲をもつことができたのは,社会科で目指す人間像に迫るものである。探究的な学習を通じて育てたい,課題解決に向けて学習したことを主体的に生かす子どもの育成につながったといえる。 (2)算数科の実践を通じて 図4-5,図4-6は主体的に学習に取り組むため の方策に関連する質問項目に対する回答である。 ・箱に荷物が入るかを最終のめあてにしていたから,入るの ・最初に出した最後にやるといった分数の問題を考えていく 自分の考えがもてるようになりたい。」の質問に対し,肯定的な回答をした子どもの割合はA校で59%,B校では71%となった。B校では7割以上の子どもが今の社会で起きている問題を自分事としてとらえ,考えをもつことができるようになりたいと思うようになったことがわかる。学習したことが単なる机上の知識として終わるのではなく,生きて働く知識となり,子どもたちが実感することができたのではないかと推察することができる。B校の自由記述には次のようなものも見られた。 「算数科の学習をたのしみにしている。」という質問に対して,「とてもそう思う」「かなりそう思う」と,肯定的な回答をした子どもの割合を実践前と実践後で比べると,A校では46%から58%へと12ポイントの上昇が見られた。B校においても48%から66%へと18ポイントの上昇が見られ,算数の学習をたのしいと感じる子どもの割合がそれぞれ増加したことがわかった。 また,「授業のはじめにその時間にどんな学習をするのか,どんな問題を解いたり考えたりするのかわかる。」という質問に対し,肯定的な回答をした子どもの割合は,実践前と実践後を比較すると,A校では58%から61%へと3ポイントの上昇が見られた。B校では50%から61%へと11ポイントの上昇が見られた。学習の見通しをもって授業に臨むことができるようになったといえる。B <B校> ・立場の違うそれぞれの意見を交流することで,自動車に対する様々な考え方がもてた。 ・みんなで考えを話し合うとまた新しいことがわかるから。 ・家に帰ってからお母さんともこれからの自動車工業がどうあるべきかについて話し合いました。いろいろ話しましたが,ガソリン車と環境にやさしい車では,やはりこれからを考えた環境にやさしい車をつくっていくべきだと思いました。 小学校 学習指導法 27 目的意識をもち,学習の見通しをもったことで学びへの意欲が向上し,単元の学習をたのしいと感じる子どもが増え,アンケートにおける肯定的な回答の割合の増加にもつながったと考えられる。 B校ほどではないが,A校でも肯定的な割合が上昇している。単元の導入で活用問題を提示せずとも,1時間の授業において次の問題意識を連続させる視点を子どもにあたえることによっても,子どもたちが見通しをもって学習に取り組み,主体的に学びに向かうことができるといえよう。 かなと考えながら学習ができた。 のがたのしかったから。
元のページ ../index.html#29