=212 第1時では解くことができなかった問題を,たくさんの子どもたちが考えをつなげながら説明している姿がうかがえる。これまでに習得してきた知識・技能を活用しながら問題解決に取り組んでいるのがわかる。図3-13は子どもたちが考えを説明している様子である。本時の実践では,この後,入れることができない詰め方の図も提示されたが,その入れ方は不可であると子どもたちが同様に説明することができ,高い理解を見取ることができた。基礎的な探究を通じて習得してきた知識・技能を活用して考えることができた結果といえる。 また,単元を通じた課題を設定したこの学習について,次のような振返りをしていた。 単元の学習を通じて自分がどのように成長して小学校 学習指導法 25 mにmきたのかを振り返る姿が見られ,自分の学習の成長を感じ取っていることがわかる。また,はじめは解けなかった問題を最後に解くことができたことで達成感を味わっている様子もうかがえた。 本章では,実践授業の様子や実践後の子ども・研究協力員の先生のアンケートなどを基に,本研究における成果と課題について考察する。 第1節 児童対象質問紙調査の結果から 本節では,A校B校における授業実践前後に行った児童対象質問紙調査の結果から,子どもの意識の変化について述べる。 (1)社会科の実践を通じて 次頁図4-1,図4-2は主体的に学習に取り組むための方策に関する質問項目への回答である。 「単元の学習問題について調べるのはたのしい。」という質問に対して,「とてもそう思う」「かなりそう思う」と,肯定的な回答をした子どもの割合を実践前と実践後で比べると,A校では59%から73%へと14ポイント上昇した。B校においてはいずれも77%と変化は見られなかった。しかし,実践前には「かなりそう思う」と答えていたが,実践後は「とてもそう思う」とより肯定的な回答をしている子どもが増加している。さらに,A校B校とも「あまりそう思わない」,「全くそう思わない」と否定的な回答をした子どもの割合が減少しており,学習問題を調べることにたのしさを感じ,意欲的に学習に取り組んでいたと考えられる。 また,「調べる中で見つけた新しい疑問や問題は,早く調べてみたい。」という質問に対して,肯定的な回答をした子どもの割合を実践前と実践後で比べると,A校では61%から74%へと13ポイントの上昇が見られる。B校ではいずれも64%と,こちらも変化は見られなかったが,「とてもそう思う」と,より肯定的な回答をした子どもの割合は10ポイント上昇しており,調べる意欲が高まっていることがうかがえる。子どもたちが様々な実体験を取り入れたり,家族にアンケートを取ったりするなど,子どもが学習対象と近づくための手立てをとることで,主体的に学習に向かうことができたと推察できる。また,A校の自由記述には次 図3-13 考え方を説明する子ども 第4章 研究の成果と課題 C1 まず,ここ(Aの1m)が2126なるので,これをひき算して残った部分の長さが412になります。 T だからこの箱の残っている412なるの? C6 Bの横の長さ(2m)。 6T Cはどこにどう入れたの? C7 Cを横に入れた。 C8 (Bの)2mと(C)の横の長さ(1)は通分したら同じ長36さ。最後に縦の長さが1m余ってたので入れました。 6T なんで1m余ってたってわかったん? 6C8 ひき算。 C9 Bの横の長さ2とCの縦の長さが1は通分すると同じだ36から。 C10 2は箱の縦の長さで,Bの縦の長さの2を引きます。 42 2mから箱の2mを引くと,通分して8-6212124約分をすると1になるからです。 6T そうすると…(荷物は全部)入ったね。 ・1時間目では全くわからなかったけど,約分や通分を使って解くことができたので,今までの勉強は簡単と思っていたけどすごい力になっているんだなと改めて思いました。 ・今回の学習では,分母をそろえる方法やたし算・ひき算ができるようになりました。最後の問題では今までのことを生かしてできました。特に箱の長さを足したり引いたりすることに生かせました。 ・前までは分数のことをまったく知らなかったけど,どんどん授業でいろいろなことを覚えて,今日やっと課題にしていた問題を前回までの学習を生かして解くことができました。自分で入れ方を考えることができました。 ・学習したことを覚えられたので,それを生かして今日の問題に取り組めたし,簡単にできたからそれだけ覚えられたんだと思いました。 mで,箱のここの1mは6122mと同じところはどこにになって,
元のページ ../index.html#27