このやり取りに見られるように,異分母分数の学習について,子どもたちは単元末の活用問題をどのように解いていけばいいのかを考えたとき,第4学年までに学習してきた内容を振り返りながら,今できることは何か,どのようなことができるようにならなければならないかを認識していることがうかがえる。その結果,今後の学習では分母の違う分数の大きさを比べること,分母の違う分数のたし算・ひき算の計算ができるようになることを学習の計画として考え,学習の見通しをもつことができた。子どもたちはなぜ異分母の分数 に 宅配便で箱にA・B・Cの荷物を詰めて送りたいと思います。そこでA・B・Cの荷物の入った箱を一つの箱にまとめて入れようと思います。右の箱に全部まとめて入れることができるでしょうか。ただし,A・B・Cの箱は重ねないこととします。 図3-12 「分数(1)」 活用問題 T 何がわかればいい? C (それぞれの)辺。 C ABCの長さ。 C (入れる)箱自体の長さ。 <活用問題提示> C え~。 C 整数じゃない。 C 整数で出してくれない? C 分数やってからでないとできない。 T 分数は4年生の時やってきてるよ? C 分数の計算。 T みんな分数の計算もやってきたよ。 C こういうのはやってない。 C 分母が同じだったもん。 C 分母一緒やったからできたもん。 T 今何が違うの? C 分母が全然違うもん。 T じゃあ何ができたらこの問題解けるの? C 分母をどうやったらいいか。 C 分母を同じにしてくれたら。 C 分母が同じだったらいい。 C 違っても計算ができたらいい。 T 何の計算ができたらいいの? C 分母が違う分数の計算。 C 分母が違う(分数の)たし算。 C ひき算。 T じゃあ何ができるようになったらいいのかな。 C 分母の違うたし算,ひき算,かけ算,わり算。 C かけ算と割り算はいらんやろ。 C 大きさが比べられたらいいんじゃない。 この問題を提示した際の様子を以下に示す。 小学校 学習指導法 24 の大きさを比べることが必要か,なぜたし算やひき算をする方法を考えなければならないか,学習の必然性を獲得することができたといえる。学びの必然性が獲得できたことにより,何のために学習するのかを把握し,自分たちに必要な学習を意識しながらその問題解決に向けて主体的に学びに取り組もうとする様子が見られた。 また,本単元では単元末の課題が明確になっているため,各時間の終末に子どもたちに活用問題を解くためにはあとどのような学習が必要かを確認することで,単元の出口を意識し続け,その活用問題の解決に向けて主体的な学習を展開し続けることにつなげることができた。 イ 発展的な探究の場面の設定 本単元では,発展的な探究の学習場面で次のようなテーマを設定した。 単元を通じてこの活用問題を解くために学習を進めてきた。問題は常に教室に掲示し,学習の要所でこの問題を解くためにはあと何が必要か,どんなことができれば問題が解けるかを考えるように示してきた。学習の必然性を獲得してきた子どもたちは,目的意識をもって単元の学習に取り組み,問題と向き合った。 実践では,どのようにこの問題を解いたらいいのか,どのような視点で問題を考えたらいいのかを子どもたちは学んできていたため,スムーズに問題に取り組み始めることができた。自力解決を経て集団解決では次のようなやり取りが見られた。 分数で示されたA・B・Cの荷物は,決められた大きさの箱につめられるのだろうか。 T みんなで考えてみたいと思います。こんな風に入れた人がいるんやけど…。 Cs あ~。 T どのように入れたかな。同じように入れたっていう人。 C1 まずAを縦にいれます。 T みんなここまではいい? Cs うん。 T 縦に入れたのは何で? C2 横向きだと入らへん。 C3 Aの横と箱の横を通分すると箱の1は5102なるので,Aは横向きに入らない。 T みんなそれはいい? Cs うん。 C4 次に,Aの横に412になるので,Aの横にBを入れる。 T 412mからAを縦に入れた時の横の長さ1C5 箱の横の大きさ1m62を引いた大きさです。 T 図に誰か書き込んでください。 C1 まず,ここ(Aの1m)が2126なるので,これをひき算して残った部分の長さが412になります。 T だからこの箱の残っている412なるの? C6 Bの横の長さ(2m)。 6のスペースがあるので,1-1で41262でBの横の2は4126はどっから出てきたん? mで,箱のここの1mは6122で,Aの3は6105なのmにmmと同じところはどこに
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