図3-9 「面積」 活用問題 上の図のような活用問題を設定したが,この問 題が子どもたちにとって適当であるかどうかを考える必要がある。設定したものの,問題を解くことができる子どもがごく一部の子だけでは,発展的な探究における活用問題としての意味が薄れての内容である。 表3-1 身の回りの面積を求める活動 子どもたちの振返りにはそれぞれ次のようなものが見られた。 実際に様々な場所を測ってみたり身近な場所の面積を求めたりする機会を多く設定したことで,子どもたちは量感を感得しているととらえることができる。⑧の子どもは学習した㎢がどのような場面で適切に用いることができるのかを,これまでの学習と比較しながらとらえることができているといえる。㎠,㎡,㎢の他にaやhaなど子どもたちにとってはなじみのない単位も出てくるが,自分たちの身の回りの問題について考えることで,どのくらいの面積であるのかを考えようと意識を高め,また,適切に使い分けようとする視点をも獲得し,有用性の実感を図ることができた。 イ 発展的な探究の場面の設定 本単元では,発展的な探究の学習場面で次のようなテーマを設定した。 4年1組と2組の座席で使っている面積は,どちらが広いのだろうか。 B校では,第4学年のクラスが2階と3階に分かれている。学年集会などを行う時は教室の面積が広いため,基本的に3階のクラスで行っている。見た目にもわかる教室の広さを子ども達も実感している。さらに第7時では実際にその広さの違いも求めており,子どもたちは教室の面積の広さについて理解を深めているといえる。 また,その教室の座席の配置はL字型とコの字型となっており,それぞれの教室で大きく異なる。 自分たちの身の回りの面積を求めることで面積の⑦1㎡はあまり使わないからどれくらいの大きさかがそんなにわからなかったけれど,今日いろいろな場所を測れてよかったです。 ⑦1㎡を使って学校のいろいろなところの面積がわかりました。自分が測ったところの予想はあっていたけれど,他のグループが測ったところは思っていたより大きかったです。 ⑧道などで囲まれた面積を調べるときには㎢が役に立つということに気付いた。 ⑨私の予想はaではなく㎡と思っていたから,思ってたよりB小学校の面積が大きくてびっくりしました。 小学校 学習指導法 21 学習への意欲・関心を高めてきており,自分たちの身の回りの面積を用いて活用問題を設定することは,子どもたちにとっても解こうとする意欲を高めることにつながるのではないかと考えた。そこで,先に示した本単元における学習指導要領の二つの内容を踏まえ,単位の意味を理解するとともに面積を式で求めることができるような問題を設定することで,単元の学習内容を踏まえた活用問題とすることができると考えた。 まず計算で面積を求めることについてである。複合図形の面積を求めることは,第4時の学習で行っている。L字型の面積はすでに学習をしているところであり,子どもたちも既習事項を想起することで解くことができると考えられる。しかし,コの字型については初めての面積であるとともに,L字型よりも複雑であり,この時間に設定する面積の問題として適当だと考えた。 次に,単位の意味を理解することもこの問題に組み入れたいと考えた。第4学年の面積では,面積の複雑な単位換算の学習は行わない。しかし,これまでに学習してきた面積の単位にも目を向け,自分で適当な単位を選んで面積を求めることができるようにしたいと考えた。そこで,問題の面積の単位をcmとmを組合せ,計算する際に必要な単位を自分で選択し,適切な単位に変換してから面積を求めるように問題を設定した。cmの単位で求めると数値が大きくなり,これまでの学習で習得してきた適切な単位を用いることができなくなってしまう。ただそこに示された数値を計算するのではなく,どのような数値を用いることが適当なのかを自分で判断することが必要なのである。 以上のような視点から次の図3-9のような活用問題を設定した。
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