くことができた。 次に本時の問いの設定について,第3・4時を例に挙げる。 どのように自動車がつくられているのだろうという単元の学習問題を設定し,その学習計画の一つとして自動車が工場でどのようにつくられているのかを調べることとなっている。その学習の導入で,子どもたちに前時で取り上げたT工場の航空写真と,自分たちの小学校を提示し,その比較をする中で工場の敷地の広大さをとらえ,そのような大きな工場でどのようなことが行われているのかを考えることをねらいとした。 自分たちの小学校の大きさと比べることによって,T工場がいかに広いのかを感じ取ることができ,そのような広い工場でどのように自動車がつくられているのだろう,という本時の問いを設定した。学習計画に示されたように自動車がどんな仕組みでつくられているのかを調べる本時であったが,このような導入をしたことで子どもたちの問題意識がより明確になり,広い工場で具体的にどのように行われているのか,という視点から考えることができ,工場の広さを踏まえて予想をたて,調べる活動へとつなげることができた。 イ 発展的な探究の場面の設定 本単元では,発展的な探究の学習場面で次のようなテーマを設定した。 本単元では自動車工業を取り上げ,その工業生産に従事する人々の働きによって,わたしたちの生活が支えられていることを学習する。子どもたちは単元構想図にあるように,自動車工業につい自動車会社は価格は高いが環境にはよい自動車を生産すべきだろうか。 T T工場の航空写真です。どこにあるでしょう。 C (画像を示しながら)ここ。 T そうやね,ここです。では,B小学校はわかるかな?<B小学校の航空写真提示> C え?どこ? C ちっさ。どれなん? C これかな。砂(運動場)があって…。 C これが隣の(大学)だから,ここ。 T B小学校,さっきの工場と比べてどうですか? C全 ちっちゃい。 C (工場)大きすぎるやろ。 C 学校が小さいというより工場が大きすぎる。 T 学校と工場のそれぞれの長さ(縮尺)がこれです。 C全 学校ちっちゃ~! C (工場の敷地の1辺は)何mあるの? C 1㎢くらいはあるんちゃうの? 小学校 学習指導法 18 て学びを深め,どのように自動車が作られているのか,どのように届けられているのか,どのように開発されているのかを調べ,それぞれの説明的な知識を習得している。 さらに,第8時では,学習問題についてまとめる活動を通じ,概念的な知識を習得することができている。第8時では,日本の自動車づくりのよさをキャッチコピーで表現し,その理由を交流し,その理由を基に考えることで学習問題のまとめを整理しようと考えた。子どもたちの考えたキャッチコピーは次のようなものがある。 これまで学習してきたことを踏まえ,自動車工業において,消費者のニーズを考えながら生産者が大切にしている視点を子どもたちがキャッチコピーとしてまとめていることがみて取れる。このようなキャッチコピーを発表し合う中で,子どもたちは学習問題に対する答えをまとめることができた。そのまとめの例を示す。 このような概念的な知識を習得した子どもたちであるが,この知識を活用する場面として第9時を設定した。 上記のまとめからわかるように,子どもたちは自動車工業が様々な工夫をし,社会や消費者のニ『正確 はやく 安全にできる車』 →日本の自動車づくりのよさはまず消費者が安全に乗れることだと思います。消費者が安全に乗るためには間違いひとつないよう指示ビラなどで工夫しています。そうすることで正確にはやく安全につくって消費者に届けることができるようにしているからです。 『消費者にやさしい車』 →体の不自由な人でも乗れる自動車や,もしも事故にあったときに体を守る機能を考えていることを知って,小さい子からお年寄りまで安全に乗れる自動車があって,安心だし,電気自動車などもあって地球にもやさしいからです。 『効率よく速くできる車』 →車に必要な部品を関連工場でつくり,組み立て工場で車をつくることで効率よく生産できる。さらにロボットと人が共同することで消費者にとって安心・安全な自動車が効率よく速くつくれるのは消費者にとってよいと思ったから。 『人と地球にやさしい車』 →電気で走る自動車やハイブリッド車があるし,エアバックや人にぶつからない装置や,足の不自由な人も運転できる自動者が開発されているから。 『自動車ははやく正確に,その場所や消費者のニーズに合わせて作られている。また,排気ガスを出さないための環境にいい自動車も開発されている。』 『日本でつくられる自動車は消費者や社会に合わせ,質の高い,安心・安全なものである。消費者に素早く届けるために工場の場所を考えたり,正確につくるため組み立て工場と関連工場が連携したりしている。また,人や地球にやさしい自動車を開発している。』
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