の視点にしやすい項目と,なぜその自動車を購入することに決めたのか,どのような用途でよく使っているのかといった大人が自動車を選ぶときの視点についての項目を取り上げた。 アンケートの結果が出ると,子どもたちはその結果に食い入るように見る姿が見られた。そして,どのような場面でよく使うのか,なぜその自動車を選んだのかといった大人の視点の項目についても,その理由について納得しながらアンケートの結果を受け止めていた。このアンケート結果を提示したことで,子どもたちと自動車という学習対象との距離が縮まり,自分事としてとらえることができるようになったと感じることができた。また,このような視点を獲得した上で,次に自分でも自動車を選ぶという作業に移ったとき,子どもたちはただ自分が好きな色や形で選ぶだけでなく,大人が選んだ自動車の使用目的や使用する状況を考え,購入すべき自動車を考える姿が見られた。 図3-7は子どもが選んだ自動車と,その振返りである。 図3-7 ワークシートと振返り 色や形だけでなく,保護者アンケートにあった自動車購入の視点である安全性や広さなどの視点をもちながら選んでいるのがわかる。また,振返りからも大人が自動車を選ぶときの視点を踏まえて子ども自身も選ぶことができたことがわかり,自動車という学習対象と子どもの距離を縮めることができたといえる。 <問題意識の醸成> 本単元における学習問題を「様々な種類の自動車はどのようにつくられるのだろう」と設定した。まず単元の学習問題の設定について述べる。 第2時では,第1時に子どもたちが選んだ自動車とその理由を交流し,それらの自動車がどこでつくられているのかを地図で確認した。そこから今日の学習で,お父さんお母さんが車を買うときにどんなことを考えたのかを知れたし,車を選ぶときにどんなことを考えて選んだらいいかなどを考えながら選べた。 小学校 学習指導法 17 疑問点を見出すことで学習問題の設定を目指した。 ただたくさんの自動車がつくられるという視点から学習問題を設定するのではなく,自分たちが調べた多種多様な自動車が速くつくられるという視点,地図から読み取ったことから輸送されているという視点,様々な種類の自動車を選択する際に子どもたちが気付いた新しい機能などを開発するという視点を子どもたちが見出し,学習問題につなげていった様子が見て取れよう。 第1時に様々な要素を吟味しながら自動車を選択したことによって,子どもたちと学習対象の距離が縮まり,自動車がどのようにつくられるのか,自然な思考の流れの中で学習問題を設定することができた。また,具体的に調べたい内容も第1時に自動車を選択したことにより明確にもつことができ,調べたい視点がそのまま学習計画となり,子どもたち自身が主体的に学習を進める計画を築T T社では1年間250万台つくられています。 C 多いな~。 T 一番多く作っている堤工場では1日何台くらい? C 900台くらい? T 1142台だって。 C そんなにつくるの? T 1日これだけってことは,1時間では? C 休みなく働いて50台くらい。 T ってことは1台…? C 1分から2分? C う~わ~。 C 速くね? C めちゃめちゃ速い! C 色全部違うのに! C それぞれの注文に合わせて? T 2分で最初から最後までできるわけではないですが,2分に1台のペースでできてくるようです。 T では,これからどんなことを調べてみたいですか。 C 1台がどうやってつくられるか知りたいです。 C なぜそんなに速くできるのか知りたいです。 C どうやったらそんなに速くできるのか。 C どんな仕組みになっているんだろう。 C どうやって大量生産しているのだろう。 T では,どんなふうにつくっているのか調べていきましょう。 C 工場がないところはどうしてるのか。 C どっかから運んできてる。 C 愛知県から送ってきてる。 C トラックとか船とかで? T じゃあそのようなことも調べていきましょう。 C 自動車の進化。 T 新しい自動車の技術はどこで生まれてるかってこと? T じゃあ大きく三つ,こんなこと調べていこうね。 T まとめるとどんな学習問題になる? C いろいろな自動車はどうやってつくられているか。 C たくさんの種類の自動車はどのようにつくられているのだろう。
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