⑥自動車の輸送等,消費者の手元に届 けられるまでの工 夫につい調べる。 であう つかむ 調べる まとめる 小学校 学習指導法 16 きるようにするために,導入でどのように自動車 と出合わせることができるかが要点となる。そこ で,まずは自分で自動車を選んでみるという活動を考えた。様々な自動車があることは子どもたちも生活経験の中で知っている。自分が乗ったことのある自動車や見たことのある自動車,中には乗ってみたいと思っている自動車もあることだろう。自動車を大人と同じように自分で選んでみる活動をすることで,自動車を身近に感じることができるのではないかと考えた。 しかし,大人のものであるというイメージが強い自動車を子どもが選ぶだけで本当に自分事としてとらえることができるかというと,疑問が残る。利用したことがある,普及率が高いとはいえ,子どもが知っている以上に多種多様な自動車もある。自家用車がない子どもも当然いる。子どもと自動車との距離はそれぞれである。選んだとしても自分が好きだからという視点だけで選んでは,大人が自動車を選ぶという視点から社会的事象をとらえるということにはならず,活動が形骸化して終わったしまう可能性もある。そこで,ただ選んで終わるのではなく,大人が自動車をどのように見ているのかを知ることから始めた。大人の自動車の見方や考え方を知った時に初めて社会的事象の見方がわかり,自分事としてとらえることができるのではないかと考えた。そこで,まず子どもたちにそれぞれの家庭で自動車アンケートを取った。なぜその自動車を選んだか,どんな視点から選んだか,色は何色か,何人乗りか,選ぶ上で大切にした視点は何かなどの複数の項目について家族への聞き取りを行い,その結果を集計し,導入の時間に資料としてその結果を提示した。アンケート結果を見ることで,大人がどのような視点から自動車を選んでいるのかを考えるための視点を獲得することができると考えた。次の図3-6はそのアンケート結果の一部である。 図3-6 自動車アンケートの集計結果(一部) アンケートでは自動車の乗車人数,色,など子 どもたちが比較的とらえやすく,自分が選ぶとき 前頁の内容を踏まえ,下図3-5のような単元を構成した。 …単元の学習問題 図3-5 「自動車をつくる工業」 単元構想図 ア 主体的な学びに向けて <自分事としてとらえる活動> 本単元では子どもたちの身の回りでもよくみられ,実際に利用したことのある自動車について調べることを通じ,日本の工業生産について考える。子どもたちにとって自動車は普段から目にしたり利用したりする機会の多い工業製品の一つである。普段の生活の中でも家族との買い物で使ったり出かける際に利用したりすることも多く,身近に感じることができるものである一方,自分が主となって使うことのない工業製品でもある。使う機会は多いが,あくまで大人のもの,といったイメージが子どもにとっては強いと考えられる。しかし,今日の日本では乗用車の普及率は非常に高く,またその利用頻度も極めて高いため,子どもが工業生産について考えるのに適した教材である。 大人のものであるというイメージの強い自動車を,子どもたちが自分事としてとらえることがで ①身の回りにそれぞれのニーズに合った自動車がたくさんあることに気付く。 ②どのように自動車がつくられているのか疑問をもち,学習問題をつくる。 様々な種類の自動車はどのようにつくられるのだろう。 ③④自動車の組み立て工場の様子から製造ラインや組み立てる工夫について調べる。 ⑧学習問題についてまとめる。 ⑨これからの自動車工業の在り方について考える。 ⑤関連工場の様子や組み立て工場との関係について調べる。 ⑦新しい自動車や技術の開発について調べる。 …基礎的な探究 …発展的な探究
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