京都の人に知ってもらうという目的の意味を考 え,その考えを交流することで,疏水に対する考え方を広げていることがうかがえる。 このような話合いを経て,子どもたちは改めてキャッチコピーを作成した。そのキャッチコピーを以下に示す。 視点を獲得し,先人の業績が自分たちを経て未来の京都へとつながっていくことを考えることで,学びが深まると考えた。そこで,第12時では復活を目指して取り組まれている琵琶湖疏水の通船事業を取り上げた。まず,通船の様子を提示した。 ここで見られるように,子どもたちはこれまでに 習得した知識である,以前は舟による舟運や交通手段として利用されていた事実を振り返ったり,今ではその舟運が終了し,農業用水や水道水に疏水が利用されていることを活用したりしながら本時の問いを設定することができている。さらに,予想を立てる段階でもこれまで学習してきたことを根拠としながら通船を復活させている理由を考えていることがうかがえる。発展的な探究の場面の予想でも習得した知識の活用が確認できる。 上下水道局の方の話から,通船の復活が市民へ広く知ってもらうこと,新たな観光スポットとしたいことを理解したうえで,なぜ知ってもらうことが大切なのかを子どもたちに問いかけた。 T この写真を見てください。 C 知ってる知ってる。 C あ~,見たことある~。 C 何の写真でしょう。 C 琵琶湖疏水。 C 舟を使っている。 C 琵琶湖疏水で舟に乗っている。 C 観光客。 T 昔は舟何のためだった? C 交通手段。 C 荷物を運ぶため。 T 今も琵琶湖疏水に舟を通そうという取組が進められています。普段では舟は使えないんだけど,それを通そうということが行われています。 C なんで? T なんでだろうね。それを調べていきましょう。 <予想を立てる> C 昔は通船で使われていたけど,最近は使われていないから川の流れが悪くなるから。 C 今は観光地で人がいっぱいいるけど,船を通してまた観光地への交通手段にする。 C 北垣国道知事が次の京都府知事になる人に人口が増えるようにこのようなイベントをして増やしていくように C 昔とは違う速さ(の舟)だから,すぐに(荷物を)届けられる。 C 京都は文化とか昔のこととか場所とか,昔の舟を通して,水の大切さに気付いてほしい。いつもどおりにやっているけど,(疏水の)大切さに気付いてほしい。 T 今3300万円をかけてわざわざする,新たな観光スポットにするというのは納得できますか? C うん。 T 京都市民に琵琶湖疏水の意義,価値とか大切さを知ってもらうためにわざわざ3300万円かけて舟をつくった。 C なんで? T なんで3300万円もかけてつくろうとしているの? C 京都が人口が減ってもっと増やしたいから T そうやったら有名になりそうですか C もう十分有名だと思う C 昔のものを守っていこう,知ってもらいたい。知ってもらったら興味をもってもらえるし,疏水について知りた小学校 学習指導法 15 T なんで3300万円もかけてつくろうとしているの? C 京都が人口が減ってもっと増やしたいから。 T そうやったら有名になりそうですか。 C もう十分有名だと思う。 C 昔のものを守っていこう,知ってもらいたい。知ってもらったら興味をもってもらえるし,疏水について知りたいなと思うようになる。 C つくってて亡くなった人もいる。それでもつくったという,その意義を知ってもらいたい。 C 琵琶湖疏水のことをいろいろ知ってもらって,もっと興味をもってもらって,もっと好きになってもらいたい。 C 京都の人はほとんどの人は知っていると思うけど,北海道や沖縄の人はほとんど知らない。 C 京都から遠い県の人にも知ってもらって,有名にしたい。 C 琵琶湖疏水のおかげで人口が増えて,琵琶湖疏水のおかげで自分たちも生活できるから。 『琵琶湖疏水 舟を買って これからも』 →通船も琵琶湖疏水もこれからも物語が続いていくという意味。続いていかないと自分たちの子孫がいなくなるから。 『過去から今へ 今から未来へつながる琵琶湖疏水』 →過去にあった通船を今復活させていて,今の琵琶湖疏水のことを未来にひきついでいるかもしれないから。 『愛と情熱の琵琶湖疏水』 →愛は今もこれからも京都の人に愛されていくこと,情熱は琵琶湖疏水をつくってきた人の苦労が込められていることを知ってもらうことが大切だから。 『未来につながる琵琶湖疏水』 →未来のために,通船の準備をしているから。 第11時のキャッチコピーと比較すると,子どもたちはこれまでの琵琶湖疏水という視点だけでなく,未来の京都にとっての琵琶湖疏水という価値に気付き,今から未来へつないでいく大切さや必要性について考えることができたといえよう。 (2)第5学年の実践から 次にB校における実践である。小学校第5学年の単元「自動車をつくる工業」の学習における実践である。 本単元における学習指導要領の記述は以下のとおりである。 (3)我が国の工業生産について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,それらは国民生活を支える重要な役割を果たしていることを考えるようにする。 ウ 工業生産に従事している人々の工夫や努力,工業生産を支える貿易や運輸などの働き
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