)64()54()44()34()24()14()04()93()83()73()63()53()43()33()23( 図4-2 c児の自己評価によるコミュニケーション領域の変化 ここでは,5つの項目で合計5ポイントの点数が増加し,4つの項目で合計6ポイントが減少している。点数が増加した5つの項目ではいずれも1ポイントずつの増加であったが,減少した4項目のうち2項目で「2:やや当てはまる」から「0:当てはまらない」に2ポイントずつ推移している。その結果として全体の点数の増減が1ポイント減少している。 3210 えると,その項目について児童の力が後退したわけではないと考えることができ,むしろ好ましい結果ととらえることもできるのではないだろうか。実際に,a児のそれぞれの項目の自己評価の数値はその多くが上昇し,指導者によるチェックによる数値もこれと同様に複数の項目で上昇する様子を見てとることができた。 こういった指導者側の児童を見る視点の変化は研究当初に実施したLD等通級指導教室担当者アンケートの中でも複数指摘されており,研究協力員への実践終了後の聞き取りの中でも指摘があった。a児と同様に点数が減少した学級担任によるg児のコミュニケーションに関わる領域の点数でも似た傾向が見られ,同様に考えることができる。 (2)児童の自己評価による変容の見とり 指導後の児童による自己評価は,それぞれの困りの内容に即し,1つもしくは2つのソーシャルスキル領域で,教員によるチェックと同様にSST指導前の評価を参照せずに行った。 指導後の自己評価は本研究の取組の効果をはかるためだけのものではなく,児童が自分の変容を客観的にとらえ,成就感や今後の意欲を喚起するためのもの,また,学級担任や保護者が児童の学びを視覚的にとらえ,フィードバックできるものとして位置付けた。これを踏まえ,指導後のチェックはこれまでに学習したことの振り返り,自己評価,自分の変容の確認の順で行った。 学習したことの振り返りではこれまでに行った活動名やその際に取り組んだミッションを一覧できるようにした。ここでは先に述べた指導の連続性の中で指導後も継続して取り組んでいる内容が多く含まれているため,「これはあいさつの時にやっているよ。」「今日のスピーチで使えたよ。」というように,実際の学習場面を想起しながら振り返ることができていた。 自己評価と自分の変容の確認では,SST指導前に用いたものと同じ項目の児童用の自己評価シートを用い,記入したものを直接比較して自分の変容の確認ができるようにした。ここでは,以前よりもできるようになっている(数値が大きくなっている)ものを確認しマークすることで,自分が身に付けた力を具体的に把握できるようにした。また,今後取り組みたいスキルについてもマークをすることで,次回以降のターゲットスキルの設定の材料となるようにした。 表4-2は児童による自己評価での素点合計の増小学校 総合育成支援教育 24 減を一覧にしたものである。 表4-2 児童の自己評価における素点合計の増減 ここではc児のコミュニケーションに関わるスキル領域と,f児の仲間関係に関わるスキル領域を除く全ての領域で,点数が増加しており,ほとんどの児童が自分の力が付いたことを実感し,次回以降の目標設定も行うことができた。 図4-2は素点が1ポイント減少した,自己評価によるc児のコミュニケーションスキル領域の点数の変化を示したものである。 この児童はSSTの中に,「相手に言葉でたずねること」「相手の方を向いて話を最後まで聞くこと」「相手に聞こえるようにたずねたり答えたりすること」の3つをスモールステップとして組み込んだ。これらは全て「聞く」「話す」に含まれるスキルのスモールステップである。改めて図4-2を見てみると実際に「聞く」「話す」の3つの項目で点数が増聞く 話す 主張 第1回 第2回 話し合い
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