が繰り返しスキルを使用することのできる環境設定をすることや,児童自身が今どのようなスモールステップに取り組んでいるのかを意識し,日常生活場面で円滑にスキルを使用し,般化につなげることができるように,指導に連続性を持たせることに留意した。 ここでいう指導の連続性とは,第1時で学んだことを生かして第2時の学習を行う,学んだスキルを別の活動の中で使用できるようにするといったLD等通級指導教室の中での連続性のことである。 通常学級では,多くの場合45分を授業時間として各教科領域の指導が行われ,各時間1つの学習目標の達成に向かう。それに対し,LD等通級指導教室においては,児童の実態に合わせて45分の授業時間をいくつかの時間枠に分割し,それぞれの時間枠の中に複数の目標を設定し指導を行っている。 表3-2は,SST指導における連続性を示したものである。折れ線はそれぞれ同じスキルの指導や使用を表している。 この場合は6つの時間枠に分割されており,指導の前後段のあいさつ等の活動を除き,中盤の自立活動①,自立活動②,教科の補充の3つの活動がその時間の中核となる指導となる。これを踏まえ指導の中に指導計画の連続性,自立活動場面以外でのスキル使用による連続性の2つの連続性をもたせた。 例えば第1時であれば自立活動①でスキルAについての指導を行うのみであるが,第2時にはスキルAの2回目の指導に加えてスキルBの1回目,第3時にはスキルBの2回目の指導に加えてスキルCの指導を行った。これにより前回取り組んだ活動内容を必ず振り返ることになり,その間のスキル使用場面小学校 総合育成支援教育 18 や自分の伸びを確認することで新たなSSTへの意欲やスキル使用に向けた自信をもつことができた(指導計画の連続性)。 発達障害への教育的アプローチの形態は,大きく個別指導と集団指導に分けることができ,個別指導は学力の保障を主とする学習指導などに適しており,集団指導は社会性を育てるSSTに適している。(25)そのため, SSTは基本的に集団指導で行われ,個別指導はあくまで集団指導のSSTへの参加が難しい児童の適応指導や障害の状況に応表3-2 連続性のあるSSTの指導イメージ 図3-6 学んだスキルを使って スピーチする児童 図3-7 スキル獲得と指導技法 また,第4時には第1時,2時で学んだスキルAを,あいさつの場面で使用できるようにし,スキル使用の場面を増やす工夫を行った(自立活動場面以外でのスキル使用の連続性)。同様にスキルBやスキルCについてもスピーチや教科の補充の時間にスキル使用場面を設定し,スキル使用場面を増やし,それぞれの場面でフィードバックを行った(図3-6)。 これらの取組により,自信や学習意欲の喚起,児童のスキル使用場面の増加につながり,日常場面でのスキル使用に向けた指導が充実した。しかし,集団指導で行う場合においては各児童の目指すスキルが様々な場面で混在し,的確なフィードバックを行うための指導者側の指導内容把握が困難になってしまうことがあった。この課題を解消するために研究実践中盤に児童へのスキル指導の進捗や経過を見渡すことのできる掲示物の作成を行ったが,こちらは児童自身の学習内容の把握を促すためにもその形式や使用法の検証が必要であると感じられた。 (3)リハーサルのあり方
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