001総教C030705H28最終稿(高橋)
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図1-7「コミュニティサイトに起因する事犯の被害児童のフィルタリングの利用状況」(10)項目監視機関366日間調査対象学校数検知学校数検知投稿件数n=724(%)小学校 情報教育 5 H27.4.1〜H28.3.31 小学校 中学校255校 高等学校 総合支援学校 小学校 中学校83校 高等学校 総合支援学校 小学校 中学校1700件 高等学校 総合支援学校内容166件 73件 9件 7件 6件 68件 9件 0件 8件 1219件 473件 0件 めがきかなかったり,使用できないと精神的に不安定になったりすることがおきている。 二点目は,「ネットトラブルの問題」である。インターネット上でのトラブルは,小学生でもみられ,校種があがるに従ってその率も増加する傾向がみられる。具体的なトラブルとしては,メール関連が多く,メールのやりとりからのトラブルがある。特に,近年の特徴として,子どもたちはSNSなどコミュニケーションツールを使うことに傾倒しやすい。これは,小学校高学年頃から仲間とのつながりを強く求めようとする傾向が出てくるからだと考えられる。仲間内だけで考え方や価値観などを共有したい心情があるため,発達段階によるその要因から,これらの利用が加速するとみられる。コミュニケーションツールを利用し,友だちとつながりを求める結果,同じ考えなら見知らぬ人とつながることに抵抗感をあまり感じず,実際に会ってしまって,被害者になることが増えてきている。 さらに,個人情報の流出やゲームの高額課金,著作権の侵害などの問題もおきている。ウイルス対策の知識も十分でないまま利用していることもある。上記で示した,コミュニケーションツールを利用して,被害者になることについて詳しく見てみることにする。 図1-7はコミュニティサイトに起因する事犯の被害児童のフィルタリングの利用状況について示したものである。 5.2図1-7からは,コミュニティサイトに起因する犯罪に巻き込まれた子どもたちの内,94.8%は,フィルタリングの設定がされていなかったことがわかる。また,被害児童の内5.2%はフィルタリングの設定がされていたにもかかわらず,犯罪に巻き込まれていることもわかる。 つまり,家庭で利用時間や利用場所などのルールをいくら作っていても,フィルタリングをしていない子どもたちは,インターネットを通して,日常生活の向こうの世界と自由につながり,危険にさらされる機会が圧倒的に増えるということであり,フィルタリングがかけられていても,情報モラルが身についていなければ,危険にさらされる機会があるということである。よって,子どもたちに情報モラルについて考えさせることが必要だと考える。 表1-1は京都市内(小学校・中学校・高等学校)の学校非公式サイト等の検索・監視結果を示したものである。 表1-1 京都市学校非公式サイト等の検索・監視結果(11)この調査は,インターネット上での誹謗中傷や個人情報の書き込み等が横行し,「いじめ」等の問題にもつながっている現状を踏まえて,京都市教育委員会が,民間業者に学校非公式サイト等を監視するシステムでの調査を委託し,結果を活用・公表しているものである。 ここで注目したい点は,「小学校と中学校の検知投稿件数」である。小学校は8件なのに対し,中学校では1219件,小学校の約150倍である。なぜこれほどまでに跳ね上がるのか。 中学校で問題になる投稿件数が大幅に上がる原因の一つに,中学生になるとスマートフォンやタブレットなどの所持率が格段に上がることがある。所持率が上がるので,検知数も増えるという考えである。もう一つは,安易なインターネット利用は危険につながるという理解が,十分にされていないことである。 このような状況から,中学生になって所持してから情報モラルを身につけるのでは遅く,小学生の内に,学んでおかなければならない現状にあるのではないだろうか。小学生は中学生と比べると利用率も検知件数も割合が少ないため,教員の中で,子どもたちが負の状況に取り囲まれているという実感が中学校教員ほど高くないと考えられる。利用なし利用あり02040608094.8100

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