001総教C030705H28最終稿(高橋)
3/32

図0-1 2020年代に向けた教育の情報化の目的 (1) はじめに 2020年代に向けた教育の情報化の目的これからの社会に求められる資質・能力の育成様々な情報を主体的に活用し,問題を解決したり,新たな価値を創造したりする能力2020年代に向け,教育のあり方が活発に議論されている。 図0-1は,文部科学省が2020年代に向けた教育の情報化の目的を示したものである。 図0-1から,様々な情報を主体的に活用し,問題を解決したり,新たな価値を創造したりする能力を育てることが教育の情報化の目的とされている。 私たちの生活は,情報化の進展やグローバル化によって,ますます変化していくと考えられている。情報化の進展とは,IoT(モノとモノのインターネット)やビッグデータの活用や,AI(人工知能)の進化で,生活が大きく変わっていくことを指している。グローバル化とは,情報社会の進化により,早いスピードで,国や地域の違う多様な人々とつながり,互いに影響し合うことを指している。グローバル化は,多様な考えの者同士が絡み合うことで,簡単に答えの出るようなものにはなりにくいと予見され,さらに,AIの進化は人間の能力を超えるとも予見されており,これまでの社会の様子を基に予測しにくい未来社会がやってくるともいわれている。 しかし,情報化の進展によって,生活が便利になった一方で,多くの課題が生じてきている。例えば,個人情報の流出などの被害に遭遇したり,SNSでのつながり依存で疲弊したりするなど,情報モラルが浸透していないことでネットワーク社会を互いにうまく使えずに,起こっている問題などである。また,子どもたちにも,犯罪につながるものや,生活習慣が乱されるもの,いじめにつながるものなど,多くの問題が起きている。 こうした中で,これからの社会に求められる (筆者一部改編) (1)文部科学省「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会最終まとめ(案)概要」2016.7.28 p.1 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/08/09/1375325_04_1.pdf 2017.3.3 小学校 情報教育 1 のは,子どもたちが,その予測しがたい未来においても活躍できる資質や能力を育成することである。そのためにも,様々な情報を主体的に活用し,問題を解決したり,新たな価値を創造したりする能力が必須になってくる。同時に,人と人とが互いにネットワーク社会の中で生きていくために,情報モラルも身につけなければならない。 この数年,小学校では,情報モラルの育成について意識が高まってきている。「スマートフォンの使用率が増えてくる高学年に指導をする」「外部の講師等に任せて,子どもたちが専門的な知識を得る時間をもつ」という学校が増えてきている。 しかし,高学年だけではなく低学年から情報モラルを積み上げていくことや,教員が普段から授業の中で教えていくことについては,まだ十分でなく,限られた学年の特設の授業になっている状況もある。このままの状況では,これからの社会を担う子どもたちの情報モラルの育成は難しいのではないだろうか。 そこで,教員の情報モラル教育の十分な理解と,その理解が授業に結びつく研修が有益だと考えた。さらに,教員がその授業を実施し,授業を重ねていくことが,教員の授業力を高めていくことになり,情報モラル教育の充実へとつながっていくのではないかと考えている。そこで,今年度は,教員の授業への十分な理解と,それをいかした授業作りまでを校内研修として作り上げ,授業実践へとつなげることを視点として,研究を進める。 第1章では,情報モラルの必要性と情報モラル教育の現状について述べる。 第2章では,情報モラル教育を充実させるための効果的な校内研修を,考案し,提案する。 第3章では,校内研修と授業の実践について述べる。A校では6年生の授業実践を対象に述べる。B校では,色々な学年の授業実践から,特徴的な取組を述べる。 第4章では,本研究実践「情報モラル校内研修」の成果と課題を中心に述べる。最後に,これからの,情報モラル教育の充実のために何が必要であるかを提案して,まとめとする。 ※学習指導要領改訂(2020年より段階的に実施予定)

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る