○多数 ○約1/2 ○約1/4 ①③④⑤×約1/3 図3-26 B校4年生が記入した授業のふりかえり 小学校 情報教育 26 T :ⓒマークがついていなかったら自由に使ってよいですか。絵はわかるけど,写真もダメですか。 S1:ついていなければいいと思う。 S2:ついていなくてもダメだと思う。 S3:写真を撮った人が悲しむからダメ。 S4:ついていなくても,その人の物だからダメ。 T :(全員にたずねる) OKだと思う人? →1/3 ダメだと思う人?→2/3 S5:本人に許可もらったらいいんじゃない? T :そう!表3-4 著作権クイズの内容と子どもたちの反応でのことかもしれない。しかし,子どもたちにそのことを考える必要性を見出させることに意味がある。そこで,日ごろ目にしていてもあまり気にならなかったであろうⓒマークを探す活動を通して,身の回りには著作物があふれており,そのマークは,作った人を大切にするためにあることを知る。以下は授業中の会話の一部である。 授業の前段にⓒマークがついていれば著作権があると学習した上で考えるので,ついていなければ自由に使ってもよいと思う。でも,作品を作った人がもつ権利が著作権だと黒板にも書いてあり子どもたちは悩む。そこで,S5児のような新たな考えを聞いて,はっとする。これは,他の教科でも同じである。例えば,算数の授業で,これまで習った解き方を基に試行錯誤し,考え方を学ぶ。そして,新しい考え方が出てきたときに,前の知識と関連させて納得ができる。 表3-4は,自作クイズと回答の内容である。回答する子どもたちの反応は正解にならないところが興味深い。 丈夫なものも著作権を侵害しているものも一緒になってあふれているのが,インターネットの世界である。しかし,今回の学習を通して他の人の作クイズ内容きょうだいの絵に 著作権はあるのか ②著作権は永久か 本からのコピーを 授業で使う 自分で買ったマンガはお金を払っているのでコピーしてよい YouTubeなどの動画に著作権は関係ない 子どもの反応×4人 ○約1/3 ×約2/3 ×約1/2 ×約3/4 ○約2/3 (17)第38回全日本教育工学研究協議会全国大会(金沢大会)課題別協議会 (18)前掲(14) (19)NHK日本放送協会「スマホリアルストーリー」http://www2. nhk.or.jp/school/movie/bangumi.cgi?das_id=D0005180211_00000&p=box 2017.3.3 った作品がインターネット上に出ていたときに,「作った人の気持ちになって考えたらどうだろう。」と立ち止まって考えることができるのではないかと考える。正しいものと正しくないものは自分で判断していかなければならないことに気づくきっかけになるとも考えられる。このクイズには,その時の4年生の知識では正答しにくいものもある。しかし,4年生に著作権に関する知識を詰め込んで正答を求めるクイズではなく,考えさせることにねらいがある。 図3-26は4年生のワークシートである。 図3-26からは,B校4年生が著作権について,「だれにでも著作権をもつ権利がある」「なんのためにマークがあるのか」が理解できたことがわかる。他にも,「どんなものにも著作権があるので,これからは,ものを大切にしていきたい」「人のやつはまねやコピーをするのは,だめなものとよいものがありました」など,ⓒマークを探す活動が楽しかったということだけではなく,他の人がつくった作品について大切にしたいという記述が多くみられた。 先生方が相談しながら指導の流れを練り上げる研修会の時間の中で,著作権に関する疑問が出てきたことによって,主体的に著作権について調べられていた。そのことから自作したクイズを授業で使ったことは,子どもたちにもこの学習を基にして,身近な事象をもう一度考える必要性を与えた。このように,校内全体で情報モラル教育の指導の時間を確保し取り組んだことは,先生方の主体的な学びや,それが生かされた授業へとつながったと考えられる。 表3-4の「⑤動画投稿サイトの内容に著作権はない」については,発信している人の考えによっては,著作権に触れないものもある。大
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