図3-16のワークシートには,動画教材のスト ーリー2と3を見た直後に,投稿するときにどのようなことを確認したらよかったかを考えてものと,みんなで学んだ後に,授業のふりかえりをしたものについてそれぞれ記述されている。 図3-17は,図3-16の動画視聴直後と授業のふりかえり時に考えたことの記述内容を取出し,比較・分析したものである。 図3-17からは,子どもたちが学びの後に考えた項目に,広がりが出ていることがわかる。 また,項目の内容の変容について,「授業中に考えたこと」は,動画を見終えてすぐに記述しているので,動画教材を観た通りに受け取ったストレートな考えが多く,撮影場所・撮影者の確認や投稿の許可などの技能的な面を挙げることが多かった。それに比べて,「授業の最後に考えたこと」は,「誰も嫌な気持ちにならないかを考える」という,他の人の気持ちを考えることについての記述が増えている。そのために「判断できるようになりたい」「発信情報を見極められる人になりたい」と考え,そう考えた理由に,「拡散性があること」「将来誰が見ても問題ないか」など,情報は一度流れると消えない可能性があるということや,扱っているものの肖像権について考えること,個人情報の管理など,インターネットの特性を根拠にした記述が増えていた。 子どもたちの「この学習をしてよかった」「今 日の学んだことを守っていきたい」「使う時がきたら,今日のことを思い出したい」というまとめには,情報モラルの学習は自ら必要な学習と感じていることがわかる。 三つ目に,授業後の教員の感想について述べる。以下に示すのは,授業後に聞き取った内容である。 子どもたちが具体的にどんな機能を使っていて,どこまで技術的なことを知っているのかという実態把握の部分と,これまでで身についている情報モラルが何かという今後の指導の内容に関わる部分について,改めてわかったことが伺えた。また,上記以外の内容からも,情報モラルの授業は子どもたちにとって,関心の高い学習であるということを先生方が感じたということもわかった。 このようなことから,研修を通して,自分たちで練り上げた授業の実践は今後の情報モラル教育の視点がさらに明確になり,情報モラル教育の必要性への認識がますます深まっていくと考えられる。 (2)B校「校内研修会」 B校の情報教育主任の先生は,情報モラル教育についての経験は浅かったものの,情報モラルの校内研修を進めるにあたり,研修会の内容について読みこなすなど,しっかり準備をして研修会の進行に臨まれた。 <STPD実践の具体>児童の実態把握(See)から 分析して課題を考える(Think)活動 A校と同様に,児童実態調査を各自で読み取り, ・授業中の子どもたちのつぶやきや発言は,写真の位置情報やアプリのことなど,とても詳しい子どもがいることがわかり,知っている子と知らない子の間に大きな差があると,改めて感じた。 ・5年生で学習した情報モラルの内容がきちんと残っていることが,発言からわかった。 ・授業は,普段の授業より子どもたちの食いつきがよく,発言も多かった。これは,導入のアンケートを見て,自分たちのことを学習するのだと考えられたからだと思う。 ・子どもが,発言の中でアプリ名を使ったときなどに,よく知らない子どもたちに,アプリの内容をどこまで言うべきか迷った。しかし,この時間で押さえなくてもよいことであれば,あえて時間をとる必要は無いと判断した。 小学校 情報教育 20 撮影禁止の場所か確認するネットへの投稿は相手の許可を取る写真を撮ってよいか聞く誰も嫌な気持ち(被害)にならないか考える発信情報の見極めインターネットにのせない写していけないものを考える友だちが間違っていたら止める拡散性があること将来見ても誰が見ても問題ないか必要のない情報は,消しておく判断できる人になりたい肖像権を侵害していないか自分の個人情報の管理をする正しく楽しく使いたいSNS、ツイッター、ブログをしない図3-17 A校6年生のワークシートの主な記述内容の比較 020n=54(回)40
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