(2)STPDサイクルの活用 子どもたちを取り巻く環境や,子どもたちの現状などの課題を踏まえ,効果的な情報モラル教育を行うために,校内研修を進めるにあてってSTPDサイクルの理論を用いたいと考えた。 図2-4は, STPDサイクルを図式化したものである。 STPDサイクルについて図2-4の「STPDサイクル」は,情報の収集を図って,現状把握し,その分析によって課題を明確にして,それと同時に課題に合った具体的な計画を策定するという手順を大事にするサイクルである。 目的を実行するまでに,そのことに関わる全ての人々が,始めの段階から携わることで,その後の流れに積極的に関わることができるとされ,情報を共有し,課題意識をはっきりもって実行することができるというものである。STPDサイクルは,日本のある企業で実践されている理論で,実際に,その現場の課題解消につながり生産性が上がったものである。学校現場でも,子どもたちの情報を持っている全ての教員が関わることで,うまく活用できるのではないかと考えた。 図2-5(右上)は,本研究にSTPDサイクル用い,情報モラル教育の充実を目指すまでを図式化したものである。 図2-5は,STPDサイクルの,STPを情報モラル校内研修と位置づけ,Dは研修を受けて,練り上げた授業を実践するという流れである。「STP」では,事前にICT機器の使用率・利用頻度・利用内容・情報を扱う意識などの調査結果を基に,客観的な子どもたちの実態を把握する。次に,調査結果から個人で気になることを見つけだし,それらを学年 SeeDo PlanThinkSee図2-4「STPDサイクル」 改善のための現状把握 (次へのフィードバック)目的の実行 課題に対応した 具体的な計画の策定 目的の設定 現状からの分析と課題発見 情報の収集・現状把握 図2-5 STPDサイクルを用いた情報モラルに関する指導の充実に向けた研修会の構造図 小学校 情報教育 9 情報モラルに関する指導の充実をめざす や学年部で持ち寄り分析する。そして,その課題を克服するためには,どのように授業を展開していけば良いのかを考える。参考にできる教材を学校に配布されている冊子やインターネットに掲載されているデータから探し出し,課題に対応した指導案を作成する。 「D」ではSTPを受けて,各クラスで授業を実践することになる。その後は,授業の在り方や子どもたちの様子を検証し,そこから見えた課題の解決に向けて,二巡目のサイクルに進むという流れである。 また,校内研修の始めには,情報モラル教育の概要を教員に共有してもらうために体験活動を取り入れた。情報モラルの教育の視点で児童実態を分析していくためのもので,この後のSTPの活動を補完する目的がある。 (3)研究の進め方 本研究では,情報モラル校内研修を実施することが,情報モラルに関する指導の充実に,いかに効果があるのかについて研究する。研究校に事前にアンケートをとり,事後にアンケートと聞き取りをする。また,研修をするにあたって,事前に子どもたちに18項目のインターネットの利用実態に関する調査を行う。 次頁表2-1は,子どもたちのインターネットの利用実態に関する調査(以下,児童実態調査)の項目である。 STPDサイクルを用いて
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