図2-3 情報モラルの授業作りにあたって参考にできるものがどれぐらい必要かに対するアンケート結果 たって参考にできるものがどれぐらい必要かに対 する結果である。 前頁図2-1と図2-2については,情報モラルの指導が必要であるという意識は非常に高いのに,情報モラルの授業については,あまりと得意でないと感じていることがわかる。 つまり,子どもたちの情報モラルを重要視はしているが,授業を行うには前向きになれない様子がみて取れる。 また,図2-3からは,情報モラルの授業を行うにあたって,多くの教員が参考にできるものが欲しいと感じていることがわかる。 それは,授業経験があまりなく,身近なところに教材があるということにも中々気がつかない状況等が影響しているのではないかと考えられる。 もう一つ,情報モラル教育が進められにくい原因として,自身が現場にいた時もそうであったが,情報モラル教育の授業のイメージがあまりないことや,日々の多忙さで,情報モラルの教材研究を優先的に進めにくい状況が考えられる。小学校では,一人の教員で基本的に全教科を指導するため,情報モラルの教材研究をする時間をさらにとるということは難しいという物理的な条件である。 こうした状況から,積極的に実践してもらうためには,授業作りに必要な教材を用意することや教材研究の時間を確保する物理的な環境をそろえること,授業が得意でないと多くの教員が感じている状況から,情報モラル教育の理解のレベルアップと共に,校内みんなで取り組む姿勢が生まれる研修が必要だと考えた。 教員の研修については,中教審の中でも議論されている。 以下に,平成27年12月21日文部科学省中央教育審議会の中で「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について〜学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて〜(答申)」について示された部分から,教員に求められる資質能力と教員研修に関する課題の二点について示す。 一点目の「これからの時代の教員に求められる資質能力」には,教師自身が社会の変化をつかみ取り,その時々に応じた適切な学びを提供していくことが求められていることがわかる。また,必要な情報を適切な収集・活用する能力と,それらを自ら構造化する能力を身につけることが求められていることもわかる。 二点目の「教員研修に関する課題」には,これまでの研修の手法を見直し,主体的で協働的な研修に転換していくことを必要視していることがわかる。 従来のように,専門家から講義を受けたりする「講師派遣型」,情報教育主任が受けた内容を校内に持ちかえったりするような「伝達型」とは異なるタイプのものを考えていくことが大切である。主体的で協働的な研修のためには,学び合うことが必要だといわれている。 こうしたことも踏まえて,学校全体で情報モラル校内研修に取り組めないかと考えた。十分な教材研究ができる時間を生み出すこと,その参考となる教材などがあることに気づき,授業に前向きに取り組む意欲を校内の教員みんなで持つこと,情報モラル教育を実践してもらうために,今までやっている校内研修会をうまく活用して,効率的・効果的な情報モラル教育の研修の時間を設定することで,教員が情報モラル教育を学ぶ環境をつくることが必要だと考えた。 協働的な学びの要素を含んだ研修への転換を図る必要がある。 (下線は筆者による) (16)情報モラルの授業をするにあたって,参考にできるものが欲しい非常によくあてはまるだいたいあてはまるあまりあてはまらない全くあてはまらない(人)2.これからの時代の教員に求められる資質能力として (前略) 変化の激しい社会を生き抜いていける人材を育成していくためには,教員自身が時代や社会,環境の変化を的確につかみ取り,その時々の状況に応じた適切な学びを提供していくことが求められることから,教員は,常に探究心や学び続ける意識を持つこととともに,情報を適切に収集し,選択し,活用する能力や知識を有機的に結びつけ構造化する力を身に付けることが求められる。 (後略) 3.教員の養成・採用・研修に関する課題 (1)教員研修に関する課題 ◆ 研修そのものの在り方や手法も見直し,主体的 小学校 情報教育 8 2017152010053n=383825
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