001総教C030705H28最終稿(西田)
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児童は,新しい遊び方をすぐにやってみたいという様子で,どの児童も表情が生き生きとしていた。後に,教師になぜスキップを取り入れたのかを聞くと,「どんな動きでもいい。とにかく楽しむことができれば」という言葉と同時に,「遊びながら少しでも体力がついたら」という言葉も聞かれた。体力向上を直接的にねらうと,児童から「楽しい」要素が奪われてしまう可能性がある。楽しく遊びながら自然に体を動かして体力の向上を期待している取組だといえる。教師の提案で後向きスキップでのリレーを始めるが,なかなかうまくスキップすることができず,中には,うまくできない児童もいた。しかし,失敗しても児童には笑顔があふれていた。このような動きも,「やらなければならない」という思いで指導性が強くなると児童にとって楽しくないトレーニングとなってし 26 図3-21 スキップリレーを楽しむ様子 まう可能性がある。相手と競争するという遊びを通して,児童が自然と身に付けているのである。 リレーの後,教師からゴムとびの紹介があった。図3-22は,ゴムとびを楽しむ児童の様子である。教師が小学生のころ流行っていた遊びということで,まずは,教師が示範し,それを見て児童が挑戦する形をとった。初め,児童はどうすればよい このように,教師が意図的に運動遊びをクラブ活動に取り入れることで,児童が遊びを獲得し,日常的に遊ぶ姿が増えてくる。何より,教師が経験した遊びを,教師が最高の笑顔で紹介する姿が素晴らしい。事例1同様,教師が夢中になって楽しむ姿があり,姿(環境)によって,児童の楽しさは増していく。筆者は,現代の児童は,空間,時間,仲間の減少といった原因からも,自然発生的に自ら遊びを生み出し,遊びを獲得していくことは少ないのではないかと考えている。教師の意図的な手立てがあってこそ,新たな遊びを獲得していくのである。 (3)事例3 ジャンプアップチャレンジカード図3-23は,ジャンプアップチャレンジカードである。 図3-22 ゴムとびを楽しむ様子 らこそ,その楽しみを伝えることに対してとてもやりがいを感じている様子であった。また,中間休みにもできるように,ゴムを担任に渡しており,休み時間に遊ぶ児童も増えているようだ。 図3-23 ジャンプアップチャレンジカード 表面 小学校 体育科教育 22 か分からず,教師を呼ぶ姿があったが,教師はその都度児童に笑顔でやり方を伝えていた。自分自身が子どものころに楽しんだ遊びであるか での取組で教師の姿勢は同じであったということである。 (2)事例2 クラブ活動を活用した取組 D校では,昨年度,運動クラブという名前で球技以外の運動を取り上げ,活動していた。児童が中心となって計画し,おにごっこなどの遊びを中心に行っていた。しかし,児童の持つ遊びのレパートリーが少なく,毎回同じような活動となることも多かった。そこで,クラブ担当者は,できるだけ多くの遊びを計画的に行うことができるように,意図的に運動遊びを取り入れ,活動するようにした。以下に,ある日の運動クラブで活動する様子を記す。 この日は,リレーとゴムとびを行う日であった。まず,コーンを置いて,スタートラインからコーンまでを折り返すリレーを行った。初めは,チームで走順を決め,全力で走るリレーを楽しんでいた。ただ走って相手と勝敗を競い合うだけでも楽しいのがリレーの特性であり,児童は全員笑顔で楽しく遊んでいる。何度も対戦して楽しんでいる中で,教師が,「次はスキップにしてみようか」と提案した。図3-21は,スキップをしてリレーを楽しむ児童の様子である。 を使った学級の取組

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