001総教C030705H28最終稿(西田)
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ステージ① いろいろなマット遊びを知り,今ある力で友だちと一緒にマット遊びを楽しむ ステージ② 工夫した場で,友だちと一緒にマット遊びを楽しむ 図3-12 ステージ② 学習の場 活動であったので,場の数は,六つとした。グループで一つの場を 小学校 体育科教育 17 準備するという形は児童にとって分かりやすく,自主的な姿も生まれやすい。 図3-13は,すべり台の場や上り坂下り坂の場で楽しむ児童の様子である。 シで坂を上るのは腕の力が必要なので少し難しいかと思われたが,多くの児童が挑戦していた。少し頑張ればできそうなことに対して児童の関心が向いていくことがわかった。 回転する感覚をつかむのに,傾斜は非常に有効である。ステージ①で前転がりや後ろ転がりが思うようにできなかった児童も,傾斜がある場で遊ぶと,回転することができることに気が付く。「あっまわれた」という声がところどころで聞かれるようになった。児童の笑顔と同時に,指導者は,「坂があるとまわりやすいね」と今の遊びを価値づける。そうすることで,中学年からのマット運動で技を練習するときに,「坂があれば回ることができる」ということが知識として残ることを期待している。ただ単に遊ぶだけではなく,指導者の意図的な価値づけが,遊び=学びとなるきっかけであると考えている。 図3-14は,丸 太転がりの場で楽しむ児童の様子である。ステージ①では,一人での丸太転がりしかしてこなかったが,ス テージ②では,二人でも丸太転がりを楽しむことができるように,マットを二枚用意し,隙間を開けて置くようにした。二人で腕をとり合い,声を掛けて回っていくようにする。一人のときよりも二人の方がよほど楽しいらしく,何度も何度も遊ウレタンマットの両端に,マットを垂らして坂になるようにした。児童が行った遊びは,アザラシ,丸太転がり,前転がり,後ろ転がりが中心であった。アザラ 21 上り坂下り坂の場で 楽しむ様子 (3)「マットあそび」 <遊びの要素を取り入れた単元について> 表3-6は,マットあそびにおける学習過程である。 表3-6 マットあそび 学習過程 マットに対する児童の経験は様々である。就学前に,多くの経験をしてきている児童や体操教室に通っている児童など,マットでの遊びにある程度経験のある児童もいれば,マットで遊んだ経験がほとんどない児童もいるだろう。しかし,どのような児童でも,まず,今ある自分の力で楽しむ時間を与えれば,いきいきと活動できるはずだと考えた。今ある力で楽しんだ児童は,新たな遊び方を求めると考えている。新しい遊び方を獲得することで,新しい楽しみ方を経験することができるのではないだろうか。また,いつも同じような場所,同じ並べ方のマットでは,児童の意欲も続かないことが考えられる。児童が「遊んでみたい」「楽しそうだな」と思えるような場の工夫をすることで,より楽しくマットで遊ぶことができると考えた。この二つの段階を意図的に組み込むことで,様々な楽しさを経験することができると考え,45分の授業の中にステージ①②を組み込むようにした。 <授業の実際 ステージ②に焦点を当てて> ステージ②は場の工夫をして楽しむ段階である。ステージ①では,マットを1~2枚並べた場で新しい遊びを知り,楽しんでいた。そのような児童が,見るだけでワクワクドキドキするような場を指導者が考え,児童自ら準備することができるようになると,更に楽しさを実感できるのではないかと考えた。また,場に引き寄せられた児童は,自分が獲得した遊びを更に繰り返して遊んでいく。繰り返して遊ぶ中で,学びの姿も見られるのではないかと考えた。図3-12は,本単元ステージ②における学習の場の設定である。今回,6グループでの 図3-13 すべり台の場や 図3-14 丸太転がりの場で楽しむ様子

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