001総教C030705H28最終稿(西田)
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T :点数入ってる? S1:全然はいらへん。 S2:いっつも3点ぐらいしか入らへん。 T :さっきのゲーム見てたら,シュートするとき相手に邪魔されてたで。ここがピエロ(的)やとしたら(地面に図を描きながら),どこにいたら邪魔されへん?ボールを持ってる人は動けへんのやで。 S3:横? S1:ピエロの後ろや。 T :これって前にやってない? S4:ほんまや。パスアンドシュートゲームと一緒や。 は,指導者の意図的な関わりが影響している。以下は,あるチームと指導者との会話の一部である。 指導者が意図的に関わり,助言をすることで,児童は,パスアンドシュートゲームでの的の後ろへ回り込むという動きを思い出した。この後,全体にも同じような話をすることで,チームの動きは大きく変わっていった。この作戦は,ハンドシュートゲームで勝つための有効な作戦として,多くのチームに広がっていった。 更に,シュートに行くまでのパスをつなぐ場面では,一つのボールに集まっていたチームが,三角形に広がってパスを回すことができるようになってきた。図3-8は,三角形の形に広がって攻撃をしている様子である。 図3-8 三角形の形で広がって攻撃をしている様子 この攻撃の形は,ステージ①でパスがうまく回らなかった経験をもった児童から自然と表れてきたものである。この攻撃の形も指導者が意図的に全体に知らせることで,多くのチームに広がってきた。更に,パスアンドシュートゲームでのシュートは,確実にシュートすることが優先され,勢いがないことが多かったが,ハンドシュートボールのシュートでは,明らかに強いシュートが増えていた。攻守入り交じり型なので,ボールを受けたらすぐにシュートしないと,相手に邪魔をされてしまう。邪魔される前にシュートしようと,自然に素早く投げる動作を行うことができるようになっ小学校 体育科教育 15 たのではないかと推測する。また,広がってパスを回すことができるようになってきたので,ボールを投げる距離も伸びている。遠くに投げようとすると両手で投げるよりも片手で投げる方が良いということも,児童がゲームを行う中で気づいていたように感じる。図3-9は,パスアンドシュートゲームとハンドシュートゲームにおける,ある児 る。味方もボール保持者から近い位置におり,確実にパスを回そうとする意図が見られる。つまり,遠く強く投げる必要性がないわけである。一方,ハンドシュートゲームでは,利き手と反対側の足を出して投げていることがわかる。投げた後,ジャンプするような動作もあり,勢いをつけて遠くに投げようとする意図も見られる。このように,投動作についても,ゲームを楽しむ中で自然に高まってきたように感じる。競争という特性を味わい,夢中に楽しむ中で,児童の技能の高まりを感じることができた。 (2)「てつぼうあそび」 <遊びの要素を取り入れた単元について> 本単元では,鉄棒を使った「跳び上がり」「跳び下り」「ぶら下がり」「易しい回転」などの基本的な動きを,友だちと楽しい遊びを通して体験するように計画した。基本の流れは,遊びを紹介する→遊んでみる→遊びが増える→もう一度やりたい遊びを選んで遊ぶである。自分の力に合った遊びに挑戦できるので,鉄棒が苦手な児童も,意欲的に取り組みやすい。そして,これまでに体験したことのないたくさんの鉄棒遊びを知ることで,鉄19 童の投動作の変容である。パスアンドシュートゲームでは,投げるときに,利き手と同じ足を出して投げていることがわかる。 図3-9 ある児童における投動作の変容

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