図3-3 的の後ろに回り込む様子 いのである。図3-2は,ステージ①でよく見られた児童の様子である。 図3-2 シュートカバーができていない様子 シュートしようとしている児童Aの様子を児童B,児童Cは周りで眺めている。この後,シュートを外して,横で眺めていた児童Bと児童Cはボールを追いかけることとなった。大幅な時間のロスであり,得点が伸びない原因の一つであった。このようにうまくいかないことを経験すると,児童は,「もっと点数を取りたい」「○チームに勝ちたい」という思いをもつようになるだろう。この思考の段階がステージ②である。そこで,児童に,「どうすればたくさん点をとることができるかな」と投げ掛けた。競争という遊びの要素に関わる簡単な発問をすることで,子どもたちの動きに変化が現れた。また,児童が,教師からの強制的な指導と受け止められないように,学びの姿がみられるチームを全体に紹介するようにした。図3-3は,図3-2で示したチームのステージ②で見られた様子である。 図3-4 平均得点の推移 をされないということで,確実にシュートができるという反面,勢いのないシュートが多く見られた。更に,早く確実にパスをつなぐことが必要であるので,股の下から両手でパスを行う児童も見られた。このような児童の姿をみて,次単元「ハンドシュートゲーム」の必要性を強く感じた。 図3-5 ハンドシュートゲーム 学習の場 小学校 体育科教育 13 ボールを所持している児童Aがパスを出す瞬間には,パスを受けない児童Bが的の後ろに回り込もうと走り出している。ボールを投げる,受けるということが自分の課題であった児童が,ボールを投げたら的のほうへ走る,ボールを受けたらすぐにパスをするという課題に変容していった。このような動きの変容は,教師の意図する学びの姿であるが,児童に対して強制的に指導して生まれたものではない。児童がパスアンドシュートゲームの競争という特性を味わい,「勝ちたい」「たくさん得点したい」という願いをもって楽しんだ結果として生まれてきたものである。児童は,何度もシュートを失敗してボールを取りに行く経験をしてきた。この経験があるからこそ,作戦に対する必要感を強く持っている。したがって,教師の意図的な指導は,強制的なものと捉えることは少ないのではないかと考えている。 図3-4は,A校第2学年の三学級におけるチーム平均得点(前半5分,後半5分の合計得点)の推移である。三学級ともに,単元前半から単元後半 <授業の実際 ハンドシュートゲーム> 図3-5は,ハンドシュートゲームの学習の場である。児童自ら準備,後片付けができるように, にかけて得点が高くなっていることがわかる。しかし,少しシュート場面では課題も見られた。邪魔 運動場には的を置くポイントを打ち,円は,半径1.5mの円を描くことができる簡易コンパスを用意した。 17 B A A B A C B
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