①運動遊びを身近なものにする冊子の作成 昨年度は,「運動場整備」「遊び道具の作成」「遊びニュースの発行」などの運動環境整備を行った。 それぞれの取組を行った結果,運動遊びをする子どもたちが増加するという成果が得られた。また,運動遊びを楽しむ子が増加すると,体力(調整力)の向上も図られるということが,昨年度の研究で明らかとなった。しかし,それぞれの取組を単独で行っていたこともあり,取組の継続性が課題として残った。年間を通して,「遊びムーブメント」が起きるには至っていなかったと感じている。今 A校第2学年とB校第1学年において,遊び=学び授業を行った。表3-1は,本研究で行った単元名,領域,指導時数をまとめたものである。 表3-1 本研究で行った授業内容 (2)運動の日常化の重点 運動の日常化では,運動遊びが身近なものとなるように,計画的な運動環境整備を進める。運動の生活化で運動の楽しさを実感した子どもたちは,「もっと遊びたい」という思いを抱くだろう。その思いを満たすために,進んで遊ぶことができる環境を整備していくことは大切である。教師の意図的な環境づくりが,子どもたちの遊び心に火をつけるのである。運動の日常化の重点は以下の通りである。 (1)「パスアンドシュートゲーム」と「ハンドシュー第2学年 A校 第1学年 B校 【運動の日常化 重点】 ①運動遊びを身近なものにする冊子の作成 ~学校に遊びムーブメントを起こす~ ・簡単な作戦を話している ・簡単な作戦内容をゲーム中,味方に運動に声をかけている ついての ・自分のめあてをもっている 思考 ・次の時間がんばり判断 たいことをカードに書いている ・ある程度,ボールを落とさず受けることができる ・ある程度,狙った運動 ところへ投げるこの 技能 とができる ・パスをしたら,まとの方へ向かって走っている 小学校 体育科教育 11 (15) 文部科学省『平成26年度 文部科学白書』2015.8 p.283 (16) 文部科学省『教師用指導資料 小学校体育(運動領域)まるわかりハンドブック 低学年』 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/07/06/1306084_01.pdf p.6 2017.3.4 (17) 前掲(16)p.6 (18) 無藤隆,古賀松香『社会情動的スキルを育む「保育内容 人間関係」-乳幼児期から小学校へつなぐ非認知能力とは-』北大路書房 2016.5 p.4 (19) 前掲(18)p.8 第3章 運動の生活化,日常化の実践 本章では,「運動遊びを学校生活に取り入れる体力向上モデル2016」に基に取り組んだ運動の生活化と運動の日常化の具体的な実践について詳しく述べる。 第1節 運動の生活化~遊び=学びの授業実践~ 年度は,年間を通じて学校に「遊びムーブメント」を起こすために,計画的な運動環境整備を行うとともに,それをまとめた「学校に遊びムーブメントを起こすための資料集」を作成したい。この資料集を活用することで,継続した運動の日常化の取組が可能となるのではないだろうか。 トゲーム」 <遊びの要素を取り入れた単元について> パスアンドシュートゲームは10月上旬,ハンドシュートゲームは11月下旬に実践した。攻守が入り交じらないパスアンドシュートゲームを経験し15 (ゲーム) (ゲーム) 「この作戦ならたくさん得点できそうだね」 「声を掛けるとチームのみんなに作戦が伝わるね。」 「○○ができるようにがんばってね」 「すごいね。こんなに友だち(自分)のよいところを見つけているね。」 「胸の前でしっかりうけることができているよ」 「いいところに投げられているよ。」 「ボールを投げたらゴールに向かって走っているね」 「パスアンドシュートゲーム」 6時間 「てつぼうあそび」 5時間 (器械・器具を使っての運動遊び) 「ハンドシュートゲーム」 6時間 「とびばこあそび」 6時間 (器械・器具を使っての運動遊び) 「マットあそび」 6時間 (器械・器具を使っての運動遊び)
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