001総教C030705H28最終稿(西田)
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①授業の中に遊びの要素を取り入れる 14 【運動の生活化 重点】 ①授業の中に遊びの要素を取り入れる ②遊びの中の学びの姿を明らかにする (動きの習得に焦点をあてる) ③励みとなる評価を行う (社会性や主体性に焦点をあてる) 遊びの要素を【競争・達成・克服】【運】【真似】【心地よさ】とする。遊びの要素にふれることで,子どもたちが楽しさを求めて遊ぶことを期待している。遊びながら遊びの四要素を自然に体感できるようにするために,授業で取り扱う運動遊びに,どの要素が含まれるのかを明らかにする。また,子どもたちの実態に応じて,意図的に遊びの要素を取り入れた運動遊びを取り上げることも必要である。遊びの要素が含まれた運動遊びの授業では,子どもたちの姿が,「運動遊びを楽しく遊んでいる」姿となり,楽しさを求める体育学習となるのではないだろうか。 ②遊びの中の学びの姿を明らかにする 子どもたちが,運動遊びを夢中に楽しむことをねらいとする。しかし,指導者が単元における遊びの中の学びの姿を明確にイメージしていなければ,「活動あって学びなし」の授業となる危険がある。また動きの習得に重点を置き過ぎて,反復練習が中心となる授業も避けなければならない。指導者は,身に付けさせたい動きを直接子どもたちに伝えて,練習させるのではなく,子どもたちの遊びの姿から動きの獲得を目指すようにしたい。学びの姿を明確しておくことで,子どもたちの遊びの姿と学びの姿をつなぐことができるのではないだろうか。更に,動きの習得につながる遊びを意図的に取り入れることで,遊びながら身に付けたい動きの習得につながるのではないだろうか。 ③励みとなる評価を行う 結果としての総括的評価と同時に,子どもたちの励みとなるように形成的評価を行う。指導者は子どもたちの遊ぶ姿から,子どもたちの励みとなる評価を即時評価していくようにする。単元の評価規準を設定し,それに基づいて指導者は,子どもたちの励みとなるような声を掛けていく。子どもたちは,毎時間の学習を振り返って,自己評価を繰り返す。自己評価を繰り返し,自分自身の成長や進歩を自分自身で確認することで,自分のよさを確認できるのではないだろうか。このようなサイクルを繰り返すことが,子どもたちの社会性や主体性の向上につながるのではないだろうか。以下は,筆者が考える本研究での社会性と主体性の定義である。 社会性:仲間と協調して取り組む姿勢 主体性:興味・関心をもって,粘り強く,自ら 社会性や主体性といった非認知能力や社会情動的スキルは,短期的に高まるものではない。あくまでも,生涯の学びを支えるものとして,低学年の時期に高まっていくことが期待できるものとしてとらえている。短期的な成果を求めるあまり,楽しく遊ぶ時間を削り,規律訓練的な体育学習を進めていくのではない。子どもたちが楽しく遊ぶ姿に対して指導者が積極的な声を掛けることで子どもたちの励みにつながるようにしたい。そのためにも,教師の具体的な声掛けの例を指導案に明記し,指導者として常に意識をしながら授業を行っていくようにしたい。また,子どもたちの自己評価には,「教師の言葉掛け」についての欄を設け,毎時間教師にどのような言葉掛けをしてもらったかを記入するようにしたい。表2-2は,筆者が考えた小学校第2学年「パスアンドシュートゲーム」における励みにつながる具体的な教師の言葉掛けの例である。 表2-2 「パスアンドシュートゲーム」 言葉掛けの例 運動への 関心 意欲 態度 小学校 体育科教育 10 判断し行動する姿勢 学びの姿 ・道具を決められたところに置いてゲームをしている ・ゲームの邪魔になるものをコートから遠ざけている ・先生の話を聞いて自分から準備や片づけを行っている ・決められた役割をこなしている ・ゲームの勝敗を受け入れ,挨拶を行っている 具体的な言葉掛けの例 「ボールを踏んでしまうとけがにつながるね。いつもその場所に置いてね」 「よく気が付いたね。けがのないように楽しく学習をしていこう」 「協力できているね。この調子で自分たちで準備してね」 「いつもしっかり○○をできているね。みんなの見本だね」 「負けても,丁寧にあいさつができているね。勝っても負けても,気持ちよくゲームを楽しみたいね。」

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