12 評価規準 安全に気をつけながら,友だちと声を掛け合って楽しく取り組もうとしている 運動へ友だちと協力して,準の 備や後片付けをしよう関心 としている 意欲 態度 鉄棒遊びを進んで取り組もうとしている 鉄棒遊びの簡単な遊び方を工夫している。 運動についての 友だちの楽しい遊び方思考 を見つけている 判断 の先の人生にとって役に立つというような価値観ともいえる。「開脚とび○段が飛び越せるように」「高度な○○とびを身に付けられるように」や,「素直に勝敗を受け入れられるように」「長時間でも姿勢よく話を聞くことができるように」など「させる」ことで,目に見える能力面の育ちを指導し,上達させることを重視する傾向があるのではないだろうか。技能の習得や向上は,非常に重要なものであり,否定するものではない。「教え込み型」になりやすいということが問題なのである。 小学校入学前には,遊びを大切に,「しみ込み型」の学びで育ってきた子が,小学校入学と同時に,「教え込み型」として,遊びと学びが分離された学習を「させられている」状況が少なからずあるのでないだろうか。「遊び=学び」の発達段階である低学年期の子どもたちが,「学び-遊び」の学習となってしまわないように,低学年の体育学習指導を行わなければならないのではないだろうか。 (2)学びの姿を明らかにする 表2-1は,筆者が考えた小学校第2学年「てつぼうあそび」の学習における評価規準である。 表2-1 「てつぼうあそび」評価基準 学びの姿 ・順番を守って鉄棒遊びをしている ・鉄棒遊びに関する話題で友だちと声を掛け合っている ・グループでマットを運んでいる ・決められた役割をこなしている ・グループで体慣らしをしている ・何度も楽しく遊んでいる ・ルールを守って遊んでいる ・ルールを相談している ・ルールを変えながら遊んでいる ・楽しい遊び方をカードに書いている(発表している) 運動 の 技能 小学校 体育科教育 8 鉄棒遊びを通して,跳び上がりや跳び下り,ぶら下がり,易しい回転などができる 答結果 ・跳び上がって支持することができる ・支持から跳び下りることができる ・支持の姿勢から前に回って下りることができる など 遊び=学びをより確かなものにするために,遊びの中の学びの姿を明らかにした評価を行う必要がある。子どもたちが遊んでいる様子を,「楽しく遊んでいる」と評価するだけでは不十分であるので,評価する学びの姿を設定した。小学校体育科の運動領域の観点は,「運動への関心・意欲・態度」「運動についての思考・判断」「運動の技能」の三つである。この三観点における子どもたちの学びの姿が具体的で明確であれば,遊びの中の学びを評価しやすいのではないだろうか。子どもたちが夢中に遊ぶ中から,学びの姿を観察,記録して,評価として子どもたちに返していく。子どもたちからすると,ただ遊んでいるだけであるが,指導者は,遊びを学びとつなげて評価していくことが必要なのではないだろうか。 (3)励みとなる評価を目指して 図2-3は,研究協力校の教員及びランダム抽出した京都市小学校教員を対象とした「体育授業や体力向上の取組に関する調査」の回答結果の一部である。 図2-3 「体育授業や体力向上の取組に関する調査」の回 「体育授業で大切なことは仲間づくりである」という設問に対して,「そう思う」と積極的に肯定した回答をした割合は69.5%であった。「体育授業で大切なことは豊かな心の育成である」「体育授業で大切なことは協力,助け合いなど社会性の育成である」という設問に対して,「そう思う」と回答した割合はそれぞれ45.7%,56.7%であった。「ややそう思う」を含めると,ほぼ100%に近い割合で
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