001総教C030705H28最終稿(中山)
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尺度による評価で注意するべきこと ・生徒が出した尺度の数値を単独で絶対視するべきで はないということ(評価に転用しない) ・尺度の評価は,必ず記述による振り返りと合わせて 判断すること ・生徒が出した尺度の数値は「個人内評価」として, 他者との優劣などには使用できないこと ここに記したように,尺度化で示された値を,そのまま生徒の評価自体に転用は行わない。なぜなら,生徒は自分がもつ尺度で自分を測り,自分自身の心にどれだけ響いたかという視点でその授業を振り返る。あくまで測る基準はその生徒自身の個人内評価であるため,他の生徒との相対化はできず,ここで出た結果をそのまま道徳性の評価に結びつけることは適切でない。あくまで「生徒による自己評価」の尺度を継続記録・比較することで,生徒の豊かな学びの把握に,どの授業の記述による振り返りに注目するかを知る材料として活用するなどを行う。 中学校 道徳教育 5 とを以下の枠内にまとめておく。 このように尺度と記述による振り返りで自己評価させ,その記録を残すことで,毎週の生徒の受け止めや,年間を通しての道徳性の成長,大きく変化した瞬間の見取りなどを,教師が説得力をもって評価できるようになることを想定した。それに加え,その振り返りは教師自身の指導の検証にも利用され,今後の道徳の時間における指導に反映させることも計画した。 (5) 1年次の研究の成果 ① 自己評価の分析から深まる生徒理解 尺度による自己評価を,毎回コンピュータで記録し,データとして管理・分析する研究を行った。具体的な作業としては,授業が終われば,ワークシートを回収し,そこに尺度化して示された各生徒の自己評価を,学年ごとに用意された表計算のファイルに入力していく。教材の情報として教材名の入力はもちろんであるが,今後の教材活用の重要な情報となるので,実施日はいつか,内容項目はどの項目か,教材,資料の形態は読み物やビデオ教材などの中のどれであったかなどの情報も記録していく。尺度の入力自体の手間は簡単なもので,名列順に並んでいれば,一クラス5分から10分ほどで入力ができる。 尺度の五項目は五段階に分けられており,それを目安に各生徒が自己評価を行う。それを計算式(4) 生徒による自己評価の実施構想 1年次の研究では,生徒による自己評価を,「記述での振り返り」と,学習深化を尺度で表す「尺度での振り返り」の二つの方法で取ることとした。 道徳の評価が「個人内評価」であることを実現するために,いわゆる「5,4,3,2,1」などの尺度で測る「ルーブリックの思想」を生徒の自己評価に応用し,生徒自身が自己の道徳性の成長を測定することを考えた。具体的に尺度を含むワークシートの終末の振り返り欄を図1-6に示す。 図1-6 尺度評価を含んだ道徳のワークシート 振り返りを度合いによって尺度化するねらいは三つあった。一つは記述だけではその生徒の文章力により有利不利が生じる懸念があったことを解消するためであり,もう一つは本人の認識があやふやである部分を「究極の具体化」である尺度にあてはめることで,道徳的価値に対する意識段階を明確化させるためである。つまり,記述で表しきれない真情や深化の度合いを,尺度化によって逆に表せるのではないかと期待したのであった。最後の一つとして考えたのは,記述の得手不得手による評価の差異を解消することであった。平成27年度の学習指導要領一部改正の際にも,発達障害等のある児童生徒についての評価が議論されたが,そうでなくても記述を得意としない生徒にとって,尺度で自らの学びが表現できる工夫は有効であると考える。 もちろん,それらを踏まえた上で,文章による記述方式も採用することは重要である。やはり文章記述には意見の機微を表現することでの優位性が存在しており,尺度・記述が互いの利点を補完し合うことで,より細やかな学びの見取りにつながると考える。なぜなら,数値は非常に具体的ではあるが,その事項は単純化され,その評価の根拠となる考えまでは示されていない。しかしながら,道徳では「なぜそう考えたのか」を深めることこそが最重要事項であり,注視するべきポイントだと考えたからであった。 尺度による評価を取り扱う際に必ず注意したこ

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