図1-2 道徳を取り巻く「困り」による停滞の構造 (1) 文部科学省「中学校学習指導要領」一部改正 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/__icsFiles/afieldfile/2015/03/26/1356251_1.pdf 2017.3.6 (2) 文部科学省『「特別の教科 道徳」の教科書検定について』 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/tosho/toushin/__icsFiles/afieldfile/2015/08/06/1360229_01.pdf 2017.3.6 (3) 文部科学省「『教科用図書検定規則及び義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令』及び『義務教育諸学校教科用図書検定基準の一部を改正する告示』について」 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/09/1362331.htm 2017.3.6 (4) 文部科学省「『特別の教科 道徳』(仮称)の教育課程上の位置付けについて」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/049/siryo/__icsFiles/afieldfile/2014/04/18/1346725_1.pdf 2017.3.6 p.4 (5) 中山芳明「No.579 中学校道徳における,生徒による自己評価の有効な活用と分析-生徒の評価と教材開発・選定・授業手法・指導力向上への反映-」『平成27年度研究紀要』京都市教育委員会 京都市総合教育センター 2016.3 pp.125~129 この研究のシステムがどれほど具体的な解決法を提示できるかを検証した。また,「考え,議論する道徳」の実現に向けて,主体的な学びの視点を取り入れた授業プランの,道徳の授業力向上に与える効果を探り,検証した。 第4章では,道徳教育のさらなる充実に向けて,整理・拡張された運用システムの実施に伴う実効性の検証,保護者・生徒の受け止め,取組による教師の意識変化について調査した結果をまとめ,分析と考察を加えた。そして,本研究を通して明確になった道徳の授業力向上への課題を整理し,それを「生徒による自己評価」と関連付けてどのように解消するかを提示し,まとめとした。 第1節 1年次の実践から (1) 道徳の時間が抱える課題 以前は道徳の時間が教科でなかったことで多くの課題が存在していた。このような状況は文部科学省による「道徳教育推進状況調査結果」からも読み取れる。平成24年度調査の「道徳教育の実施状況の課題」という調査項目で,「貴校において,道徳教育を実施する上での課題としてどのようなことが考えられますか」という質問があった。回答をグラフ化したものを以下の図1-1に示す。 ここでは「適切な教材の入手が難しい」や「効果的な指導方法が分からない」,「十分な指導時間が確保できない」という困り,またそこから派生して生まれると考えられる「指導の効果を把握することが困難」となる状況も見てとれた。そのような道徳運用での「困り」による停滞と,これから導入される評価への不安などの構造を図式化したのが,図1-2に示す「道徳を取り巻く『困り』による停滞の構造」であった。 これらの「困り」は道徳の授業運用が体系立てて実施されていなかったことに一因があると考えられる。そこで,筆者はこれらの解決を図りながら,繁忙きわまる現場へ道徳の授業や評価を円滑に導入する手段として,「生徒による自己評価」を軸に据えた運用構造の構築が必要だと感じた。 中でも特に着目したのは評価である。なぜなら,してどのようなことが考えられますか(6) 第1章 道徳における生徒の自己評価 図1-1 貴校において,道徳教育を実施する上での課題と中学校 道徳教育 2
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