自分が新しいところへ行くとき,家を出るとき,結婚 ① 生徒の受け止め (32) 前掲(20) p.9 (33) 前掲(20) p.9 (34) 前掲(16) (35) 前掲(5) p.13 するとき…。など,何回も巣立って何回でもこれまでのことをふりかえり,そして何回も親に感謝することが大切だと思った。時々,うざいとか思っても後から自分のために…って気づけばそれでいいのかとも思った。 ここでは昨年からの継続したB中学校での道徳の取組の結果,思考が教材中の物語だけで完結せず,自らの身に引寄せ,様々な状況を類推したうえで本音としての「納得解」に至っていることがわかる。 この指導案での取組としては,まず数直線を導入して,話合いを活発化させたことである。具体的には導入段階で自立するまでの期間の予想をさせ,それを数直線上にネームプレートで表現させた。様々な考えが可視化され,「なぜそう思ったんだろう」という関心を生み出し,語り合いたくなる仕掛けとなった。 「話合い」ではなく,「語り合い」。「吾」を 「言」葉にすることで「自我関与」が高まり積極的な語り合いが道徳的価値を「机上の空論」にせず,実践意欲・態度の 尺度の向上につながっ た。生徒が「なぜそう 考えたか」について語 り合う部分である(E) の様子を図3-10に示す。図3-10 語り合う生徒 次に,(F)と(G)の部分の展開では,日常の中学生では考えが及ばない父親の視点に,一度考えを置いてみることによって視野を広げ,それを基に子どもの視点から「家族」を捉えなおす展開が用いられた。また,全体を貫く思想として,発問が教材には直接描かれていないことに言及されていて,生徒たちも自由に多様な発想を基に楽しみながら議論を深めることができていた。各々の考えの違いを認めながら,自分なりの納得解を再確認するなどの姿が生徒に見られた。 授業後に振り返ったある生徒のワークシートの記述例を以下の枠内に示す。 教材から受け取った学びをどう実現化するか,そしてなぜそう考えたのかにまで考えがいたることが道徳では大切なので,その点を語り合えるように授業プランが工夫され,効果を上げている。 図4-1 評価の試行を受けての調査項目(回答欄) 中学校 道徳教育 26 (1)評価の試行に対する反応 今回,道徳の記述式評価を試行するにあたって,その記述した内容や評価した形式についての満足度を意識調査した。その意識調査項目を以下に図4-1として示す。 A中学校・B中学校の生徒・保護者からの有効回答はのべ360人に至った。その回答をまとめた円グラフが以下の図4-2「評価の試行に対する満足度(生徒+保護者)」になる。 図4-2 評価の試行を受けての意識(生徒+保護者) この結果では五段階の尺度の中で,「満足」を示す「5」だけで過半数に至り,「やや満足」である「4」の28.6%を合わせると84.7%もの高評価を獲得した。そしてその逆に,「不満」「やや不満」を示す「1」と「2」に関しては,両者を合わせても0.9%にとどまり,今回の評価の試行がおおむね好評であったとみることができる。 生徒と保護者の比較を以下の図4-3に示す。 図4-3 評価の試行を受けての意識(生徒と保護者の比較) 第4章 実践研究の成果と今後の展望 第1節 実践研究で見えたこと
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