001総教C030705H28最終稿(中町)
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第2章 自ら問いを立て学び続ける力の育成 (2)教育課程企画特別部会 論点整理 補足資料1 http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2015/12/11/1361110.pdf p.2 2017.3.3 (3)「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」中央教育審議会 2016.12.21 【概要】http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2016/12/27/1380902_1.pdf p.24 2017.3.3 (4)中町夕子 「学校図書館を活用した各教科等における学習モデルの提示-中学校における学校図書館機能を活かした学習の創造-」 『平成27年度研究紀要』 京都市総合教育センター 2016.3 pp..131-162 (5)前掲(4) p.10 図2-5 (6)前掲(4) p.13 図3-10 (7)『学校図書館必携』全国学校図書館協議会 悠光堂 2015.8.20 p.173 (8)前掲(3) 補足資料http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/20/1380902_4_1_1.pdf p.11 2017.3.3 (9)前掲(3) p.26 る。学校図書館の資料と対話する,つまり,子どもが意図的に学校図書館で情報を得たり,学校図書館から子どもへの無意図的な問いかけに応えたりすることで,子どもは自分の問いや目的を明確にし,考えを広げ深める学び方を身に付けることができる。 三点目は,主体的で継続的な学びである。求める応えにたどりつくまでの過程が容易でないことで,じっくりと考え,試行錯誤しながら粘り強く学習に取り組む学び方を身に付けることができる。その際,子どもが自らの学習活動を振り返り,次につなげていけるような手だてを盛り込むことで,主体的に学び続ける力を付けることができる。 このように学校図書館は,教科の内容理解と学ぶ力を相互に高めていくために必要な魅力を備えた場である。各教科等の授業で学校図書館を活用し,急激に変化する社会の中で,自ら課題を発見し,的確な情報や他者との対話をもとにより良い未来を創り出すため,学び続ける力を子どもたちに付けることが重要である。 第1節 主体的・対話的で深い学びに向けて (1)研究の出発点 1年次の研究の中で,子どもが主体的に学びを深めるためには,どのような仕掛をすればよいかが課題として残った。稲垣,波多野は「教え手から表2-1 学習への深いアプローチと浅いアプローチの特徴(11) ※下線は筆者による中学校 図書館教育 7 意図的,意識的に知識を伝達されなくても,人は効果的に学ぶことができる(中略)ここでの学び手は能動的でかつ有能である」と述べ,学び手のイメージを「『なぜ?』という理解への問いを発する存在」ととらえている。(10)子どもの中に「なぜ?」という問いが生じたとき,それを解決するために,子どもは能動的に情報を集め,組合せ,考え,解決しようとする。子どもが本来もっているこのような性質を活かし,授業を構成することで,子どもの主体的な学びを引き出すことができると考えられる。 そこで筆者は,子ども自身から生まれる問いに注目した。子どもが自らの問いを連続させ,問いの質を変化させていき,その変化を子ども自身がメタ学習しながら学びを進めるサイクルを,学校図書館を活用して構築しようと考えた。この学習サイクルを繰り返すことにより,子どもは社会の中の課題や問題点に自ら気付き,問いを立て,解決するという学びのサイクルを身に付ける。その過程で外界との対話を取り入れ,対話を通して更に学びを深めたり広げたりする学び方を習得することができる。この力は,社会に出た後も,自ら課題を発見し,解決することのできる力である。更にこの力は,学問だけでなく,仕事や日常生活などすべての活動の中で,生涯にわたり,主体的に学び続ける力となり得る。子どもが生涯,自立した学習者となるために,中学校の教育課程の中で,自ら問いを立てることを出発点とした学習を積極的に取り入れていくことが必要である。 子どもの「なぜ?」を出発点に学びを進めるためには,どのような方法が考えられるだろうか。表2-1は,溝上がまとめた学習への深いアプローチと浅いアプローチの特徴である。 表2-1では,「知識や経験に考えを関連付ける」ことや「学びながら成長していることを自覚的に理解する」ことが深いアプローチとされている。子ども深いアプローチ ・これまで持っていた知識や経験に考えを関連付けること ・パターンや重要な原理を探すこと ・根拠を持ち,それを結論に関連づけること ・論理や議論を注意深く,批判的に検討すること ・学びながら成長していることを自覚的に理解すること ・コース内容に積極的に関心を持つこと 浅いアプローチ ・コースを知識と関連づけないこと ・事実を棒暗記し,手続きをただ実行すること ・新しい考えが示されるときに意味を理解するのに困難を覚えること・コースか課題のいずれにも価値や意味をほとんど求めないこと・目的や戦略を反映させずに勉強すること ・過度のプレッシャーを感じ,学習について心配すること

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