001総教C030705H28最終稿(中町)
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人に意見,質問をもらうことで,自分たちでは考えられなかったことを調べられたと思うし,一人一人疑問に思うことが違うので,その質問を考えると,新たな発見が見つかったので良かったと思います。 質問をもらうことで,自分では思いつかなかった意見が知れて, これらの記述では,細かい学習内容については触れられていない。しかし,課題を検討する視点を学んでいる様子や,見通しをもって学習を進めようとしている様子がうかがえ,課題の見方や考え方について,学びとっていることがわかる。 また「西アジアの経済発展のために砂漠を開発し,人口の多い都市部を増やす」という提案をしたグループの子どもの学習の振り返りには,次のような記述が見られた。 この子どもの記述からは,グループでの学習から,石油が西アジアの経済を支えていることや人口が都市部に集まる要因など,教科のねらいである地域的特色の理解にせまっていることがわかる。 次に,学習が得意でない子どもたちが一単元の学習の最後に立てた問いを,以下に示す。 学習が得意でない子どもの中には,最初はなかなか問いがもてない子どもも見られた。しかし最後の問いを見ると,グループで追究してきた課題に関連した疑問や課題を記述している子どもがほとんどであった。このことから,グループでの学習が,学習が得意でない子どもたちの次の学習につながっていくと考えられる。また,この疑問や課題を追究することによって,地理的分野の学習内容として更に深まったり,広がりをもったりすることが期待できる。 ※下線は筆者による中学校 図書館教育 23 図3-32「評価シート」記述例 図3-33 「評価シート」記述例 西アジアでは砂漠が多く,砂漠に家を建てている。その家を建てるお金は石油がたくさんとれて,輸出することができる。そこでお金が入ってきて,建てることができた。そして昔は農村に住んでいる人が多くて,都市部に住んでいる人が少なかった。けれど,いまでは都市部に仕事を求め,来る人が多くなり,都市部に住む人が増えた。なぜ(モンゴルは)人口が少ないのか カンボジアでは公立学校は無料なのに,なぜ学校に行けない子どもがいるのかイスラム教ではなぜ,神の言葉に従わなければならないのか 南アジアの国の似ているところ,似ていないところ なぜおなじ国なのに言葉がわかれているのか イラクはどんな農業をしているのか 更に,学習が得意でない子どもたちの学び方についての振り返り記述の一例を,以下に示す。 人の意見や情報を得て,自分は思っていたことと違ったりしたこれらの記述を見ると,他の子どもたちと同様に,人との対話を肯定的に,前向きに受けとめていることがわかる。また,人との対話から新たな課題を発見できたことや,「楽しい,もっと調べてみたい!」と意欲的に学習に取り組んでいけたことがわかる。 ここまで述べてきたように,学習が得意でない子どもたちの記述を見返してみると,現時点ではまだ,学習内容全体を客観的にとらえて分析したり,内容についての改善点をはっきりと示したりする力は,他の子どもたちに比べて不足している傾向が見られるものの,学習してきたことを踏まえて次の学習への問いを立てることや,情報や人との対話を通して学びを進める学び方については,それぞれに的確な気付きをもっていることがわかる。この後,子どもが自分の立てた問いについて更に学習を進めていき,学んだ内容を,これまで学習してきたことに再び結び付けて考えることができれば,更に視野を広げ,深く学ぶことができるはずである。単元が変わっても,同じ概念を活用して考える機会は多々ある。そのような機会に,子どもが今回持った問いを,次の課題解決にうまくつなげられるよう,教師が支援することが必要である。また,今回のように,一単元の学習の中で問いを何度も立てる学習方法の場合,単元の途中でも,子どもの有効な問いを見逃さず,うまく教科のねらいと結び付けられるよう支援していく教師の視点が,さまざまな学力の子どもたちに力を付ける上で重要である。学校図書館で子どもが主体的に学ぶ学習では,このような見取りが大切であり,そのために授業時の観察,「対話カード」など,様々な手段を活用して関わっていくことが必要であると考える。何より,学校図書館での実践授業で,学習が得意でない子どもたちが,自ら情報を集め,考えをワークシートに書き,グループのメンバーと話し合いながら学んでいく姿けど,様々な情報などによって知らなかったこと も知ったり,それによって課題を見つけることもできたりしました。 調べてみよう!って気にもなるし,その国のことがもっと知れて,楽しく,もっと調べてみたい!っていう気になると思う。

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