与えられた条件からそれを解決し,どうしていけばいいのかを考えて,また出てきた問題を一つ一つみんなで話し合った。 「なぜそうなるのか」や「単純にここはどうなるのか」など,1つの疑問を奥深く追究することができるので,知識が増えた。また,その疑問から様々な視点から意見をもらうことができるので,考え方や見方が変わった。調べていくうちに出てくる疑問を解決できるだけ解決していくうちに,わからなかったことを解決することができた。最初,長崎とか「何もない」と思ってたけど,しっかりと集中して本を探したら,いろいろなものがたくさんあった。疑問もいっぱい出てきた。疑問の内容を探したら,また疑問が出てきた。こんな感じになったのは久々やし,とてもおもしろかった。 テーマを決めて,そのテーマに合った本を読んでいたら新しい疑問が浮かんでくるから,そうやってどんどん「?」を出して,調べていった。そしたらたくさんの情報を知ることできた。 本で見つけた気になる情報を,また別の本で調べ,特(本の)写真を見せながら班の人に言うとわかりやす1つの本で疑問に思ったことを知るために,別の本,別の本と進めていくと,全くジャンルの違う本にたどり着くことがあった。本で調べていると,教科書に書いてあったことにたどり着いたりした。 今までは「伝統」を調べようと思ったら,それに関する教科書で学んだことと本で学んだことをつなぎ合わせ いつもは調べて分かったことを書いて,考察を書いて終わりだったけど,調べたことについて疑問に思ったところを調べるという学び方を知りました。 (2)学習方法の振り返り記述から 本項では,単元の学習の最後に,子どもが学習方法について振り返り,記述した内容について述べる。 「自分との対話カード」に,学習が「深まった」「広がった」若しくは同じ趣旨の記述をした子どもは,全体の41.7%を占めた。記入の前後に教師から,学習の深まりや広がりについて記入するよう指示をすることはなかった。したがって子どもたちの約4割が,自発的にこのような記述をしたと考えられる。 図3-26は,今回の学習の流れを子どもが図示したものである。一番下は「解決の糸口へ」となっており,途中に「?」の吹き出しが描かれている。この図から,疑問をもとに解決の糸口へと自分の学びを進めたという子どものとらえがわかる。ま図3-26 「自分との対話たこの子どもは「広い視野を カード」記述例もって学習する学び方に気付き,課題を解決することができた」とも記述していた。 次に示すのは,問いを立てて学ぶことについての記述を抜粋したものである。 徴を結び付けて仕事を提案した。 い!大事なところは具体的に!! ものばかりを調べていた。今回は,地形,工業,産業,観光地など,いろいろなところから東北を調べた。そうすることで,いつもより広い範囲を調べることができたり,2つのことが結びついたりした。 中学校 図書館教育 20 図3-25 「評価シート」提案内容の振り返り ※下線は筆者によるこの子どもが悪い点として挙げている項目は,このグループが学習の終盤で議論していた,学校建設用地の有無,建設資金を集める方法など,今回の学習の中で解決できなかった点と共通しており,自分たちの学習を客観的に振り返って,成果と次への課題について分析する視点をもつことができたと考えられる。また,このグループでは学校内での差別の問題,更には教師を確保できるのかなどについて情報を集めようとしていたが,学校図書館の資料では限界があった。自宅からインターネットなどで情報を集めて持ち寄っていたが,それも十分とはいえなかった。後日,学校司書がインドのNPOに連絡を取り,この子どもたちの疑問に対する回答を現地からもらうことができ,更に子どもたちの学習が発展した。 これらの記述から,何かを調べて終わる学習ではなく,問いを連続させることで,課題を深く追究したことがわかる。 次に示すのは,学習内容全体の理解に関する記述を抜粋したものである。 この記述からは,一つ一つの疑問を解決していった結果,全体についての理解ができたことがうかがえる。 次に示すのは,学校図書館の資料を活用したことについての記述を抜粋したものである。 これらの記述から,子どもたちは図書資料を使うことで疑問が湧いて来たり,それについて調べていくことで理解が深まったりすると感じていることがわかる。また,人に伝える際の効果的な本の使い方について気付いていることがわかる。更に,本と教科書をどのように組み合わせて使うかということにも気付きを得ていることがわかる。 次に,示すのは,情報を関連付けて考えたことについての記述を抜粋したものである。
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