001総教C030705H28最終稿(中町)
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図3-13 本との対話 第2段階-1図3-14 本との対話 第2段階-2図3-15 本との対話 第2段階-3図3-16中学校 図書館教育 18 図3-17 る内容か」など,学習テーマを実現するという視点で相手の話を聞き,足りない情報や疑問について質問していた。すると,グループで情報交流することを通して,子どもたちの学習が課題解決の方向に進んだ。一方,学習テーマを意識しないまま交流しているグループでは,課題解決につながらない質問が出たり,または,そもそも質問自体が出なかったりした。 この様子から,子どもたちが学習テーマを意識して学びに向かうことは重要であり,情報や意見を交流する際,学習テーマが意識されているほうが,課題解決に向けて意味のある交流ができると考えられる。 グループで学習テーマについて深く考えを進めようとすると,行き詰まってしまう場面もよく見られた。そのとき,それまでと異なる視点から疑問やアイディアを投げかける子どもの発言がヒントになり,学習が前に進むことがあった。また,このような場面で,学習が得意とはいえない子どもの疑問やアイディアがヒントになる場面が何度も見られた。このことから,様々な子どもが,それぞれの視点で自由に意見を出し合える環境が,学習を進める上で大切な要素であると考える。 図3-13から図3-15は,「本との対話第2段階」で,個々の学習内容をもとに,グループで課題解決に取り組んでいる場面である。 ここでは,子どもたちは,全員の「本との対話カード」を並べて,誰のどの情報を活かし,何を提案するか話し合い(図3-13),グループの提案内容を決めた。そして,情報を更に集めて検討したり,疑問を出し合ったりしながら学習を進めた。この時の子どもたちは,常に学習テーマを会話の中心に据えて話し合いながら,本との対話をしていた。 特徴的だったのは,図書資料の使い方である。「本との対話第1段階」では,個々に資料を読み進め,「対話カード」に情報を記録していた(p.17図3-11)。しかし「本との対話第2段階」では,個々に資料を読 み進めていたかと思えば,それぞれが持ち寄った資料を机の上に何冊も広げ,「この情報が使える」「これとこれが関係ある」と,まるで付箋やメモ用紙を動かすように本を動かしたり,互いに本を指さしながら話し合ったり(図3-14),誰かが見つけてきた資料を全員で覗き込むように集まったり(図3-15),話し合いが行き詰まると,再び資料を探しに散っていき,個々に資料を読む姿に戻ったりしていた。また,最初からテーマを強く意識しているグループでは,「本との対話第1段階」から,図3-14のような様子が見られた。 学校図書館で資料を活用するとき,子どもが得た情報や出典を書きとめておくことは重要であるが,直接本を見せ合って会話することからも,グループが自分たちのテーマとそれについての情報を共有し,同じ目的に向かって課題追究することができたと考えられる。子どもたちの思考の流れを止めず,情報や出典等を記録させる方法について,更に考えていく必要があると感じた。 図3-16は,「自分との対話カード」への記述である。 この子どもは,「班のみんなで目あてを立て」たことで,「自分から学ぼうとする人が増えた」と記述している。子どもたちが協働して課題解決に取り組みながら,主体的に学習していたことが,この記述からもうかがえる。図3-13から図3-15にも示したように,グループで輪になって「対話カード」や図書資料を並べ,覗きこんで話し合っている姿を観察していると,まるで輪の中心に「学習テーマ」という柱が見えるように感じられた。これらの様子から,子どもたちは学習テーマを学習活動の柱として,情報を集め,考えを出し合って学んでいたと考えられる。 図3-17は,「人との対話第2段階」で,中集団での発表をしている場面である。 今回の実践授業では,可能な限り,意図的に二段階の発表場面を取り入れた。これは,前述のとおり,B校での授業実践で,初めから学級全体への発表をさせてみたところ,十分に説明できなかったり,どのよ うな質問をすればよいかわからず戸惑っていたりする様子が見られたためである。 一度目の発表は,クラスをおよそ3つの中集団

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