001総教C030705H28最終稿(中町)
17/32

問い問い問い問い終わりを迎えた。 図3-4は,子どもAが,単元の学習の終わりに記入した「自分との対話カード」から,学習内容について振り返った記述と,新たに立てた問いを抜粋したものである。 図3-1から図3-4に子どもAの例として示したように,一人の子どもの「対話カード」を順に見ていくと,子どもが立てた問い,得た情報から,子どもが何を考え,どのように学びを進めたか,おおまかに掴むことができる。また,グループ内でどのような意見や質問が交換されたかも掴むことができる。更に,教師は子どもの学習を発展させるためのポイントを見つけることもできる。このことから,これらの「対話カード」は,教師が子どもの学びを見取るための手段として活用できると考えられる。 一方,授業を観察する中で,子どもが「対話カード」に記述した内容を,学習の中で何度も見直して活用している姿も見られた。例えば,次の問いを立てる,グループで自分の学習内容を伝えるなどの場面で「対話カード」を見返す様子,単元の最後で「自分との対話カード」に振り返りを記入する際,それまでの学習で使用した「対話カード」を並べて見返す様子などが見られた。このことから,「対話カード」は子ども自身が自分の学習や思考の過程を振り返ることにも活用できると考えられる。 図3-5は,ある子ども(以下「子どもB」という)の「本との対話カード」から,子どもBが,アジア州の図3-4 自分との対話カード(子どもAの例)子どもAは「わかったことや考えたこと」として,図3-1から図3-3で学習してきた内容をまとめ,記述した。子どもAは,一連の学習を通して,ICT関連産業で「国内用より輸出用を多く生産する」ことに疑問を残し,「国内用を作り,国を発展させればよいのではないか」という考えをもった。そして「ICT関連産業による国の変化」という問いを,次の学習に向けての問いとして立てた。 学習で自ら立てた「問い」と「気付き」のみを抜粋したものである。 う)の「本との対話カード」である。 子どもCはアジア州の学習で,最初,「気候」について問いを立てた。学びを進める中で,「農業」についての問いへと,「問い」「情報」「気付き」を連続させていった。なぜ最後に「寒さを利用した作物」について問いを立てたのかを聞いたところ,「南アジアの北部に山がちな地域があって,そこは凍りつく寒さと書いてあった。暑さを利用した作物を作っても,すでにたくさん行われているから儲からないから,寒さを活かしたほうが良いと思った」と答えた。子どもCは,学習テーマである「N社長のアジア進出」を意識しながら情報を分析し,自らの問いを連続させて学習を進めたことがわかる。 子どもCのグループは「インドのスラム街に学校を建てる」という提案をすることになり,子どもCのアイディアは,その後のグループ活動では採用されなかった。子どもCはグループ活動でも前向きに学習していたが,雑談の中で「私の疑問は途中になっている」と話したり,振り返りには「次,このような授業があったら,気候に着目して気候を利用した仕事を作って提案したい」と記述したりしていた。 図3-5 本との対話カード(子どもBの例)最初の問い「何を主食にしているのか?」「東アジアの気候は?」と三つ目の問い「なぜ機械が必要なのか?」を比較すると,最初の問いは,一問一答のような単純な問いであるのに対し,三つ目の問いは,答えを出すのに様々な情報や,それらを組み合わせて考える思考を必要とするような,学習を広げ,深める問いになっていると考えられる。このことから,子どもBの問いの質が高まったと考えられる。また,問いの質が高まることにより,子どもBの学習内容はより深まると考えられる。 次頁図3-6は,ある子ども(以下「子どもC」とい中学校 図書館教育 15

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る