S3:でもヨーロッパ州で「植民地」を歴史に入れたで。支配することに関係あるし同じやろ?歴史なんちゃう?③分類ワークシートに書き出したキーワードを使って考える。その途中,教科書を丁寧に読み返す。 (③の例) 子ども同士の会話 S1:シリコンバレーとサンベルトって北緯37度とか温暖とか書いてあるし,自然のこと? S2:(教科書を見る)いや,先端技術産業を行っていると(教科書に)書いてあるよ。だから産業がさかんということやろ。 ④学校図書館で,特に教師が説明しなくても図書分類を参考に資料を探している 教科書を読み,意味を考えて分類することで,互いに教え合いながら,子ども自身で学習内容を理解しようとする。 キーワードを図書分類に分ける作業を通して,物事に多面性があること,様々な角度からの見方ができることに,子ども自身で気付く。 教室も含めた授業の中で図書分類を活用しているため,ふだんから情報の属する分野を意識し,学校図書館活用のスキルを自然に身につける。 他の単元や学習内容と比較するとき,図書分類を比較の観点として活用する。図3-1 本との対話カード①(子どもAの例)図3-2 人との対話カード(子どもAの例)図3-3 本との対話カード②(子どもAの例)中学校 図書館教育 14 問い問い問い問い上記①②③④からは,1年次の研究結果と同様に,次のようなことが考えられる。 (2)問いの変化と学びの広がり・深まり 右上図3-1は,ある子ども(以下「子どもA」という)の「本との対話カード」である。 子どもAは,アジア州の学習で,最初に「ヒンドゥー教徒の生活・特徴」という問いを立て,「カースト制度」を含むインドについての情報を得た。その情報から「職業が限定される中で高収入を得るためにどのような工夫をしているか」という疑問をもち,次に「ヒンドゥー教徒の身分が下の人たちの職業」という問いを立てた。 二つ目の問いに対して子どもAは,「(インドは)農業が盛ん」であること,「工業,特に情報通信技術(ICT)関連産業が盛ん」であることについての情報を得た。この情報は,子どもAの立てた問いに対し,完全に一致する応えとはいえない。しかし,この情報から子どもAは,「ICT関連産業ならカースト制度の影響をあまり受けないのでみんなが働きやすい」という気付きを得,次に「ICT関連産業では具体的にどんなことをしているのか」という問いを立てた。子どもAは,最初の問いから得たカースト制の情報と,二つ目の問いから得たインドの産業についての情報を自分自身で関連付け,問いを 立てたと考えられる。 右中程の図3-2は,子どもAの「人との対話カード」への記述を抜粋したものである。 子どもAは,グループ内で自分の学習内容について報告し,他の子どもから図3-2の質問を受けた。 図3-3は,子どもAが,図3-2の質問を受けた後に立てた問いである。 この問いには,図3-1の最後に立てた「ICT関連産業では具体的にどんなことをしているのか」という問いが「作られるもの」として含まれているのに加え,図3-2の「世界にどんな影響を与えているか」という,人から質問された内容が含まれ,新たな問いとなっている。つまり,子どもAは,自分が立てた問いに,人からもらった視点を加えて新たな問いを立てたと考えられる。 図3-3の問いに対して子どもAは,携帯電話の加入者数や,情報通信産業と他産業との生産額の比較などについて情報を得たところで,授業時間の
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