<①相手に分かるように考えを伝える <①本を何度も使う②疑問を2段階レベルアップする>自身の問いを連続させながら,情報を得る。[個人]本との対話カード 問い <B校 中学2年地理 日本の諸地域「九州地方」>分類ワークシート 問い 本との対話カード 問い自分との対話カード問いてもらいたい」「N先生の要望に合わせて会社をつくるのに,地形なども考えなければいけなくてたいへんだったけど楽しかった」などの記述が見られた。また,教師も授業の中で「○○については検討したの?今の案では資金は出せない」など,本物の出資者のような声かけをしながら子どもに更に考えさせるよう促していた。 このような子どもの様子は,B校中学2年地理「東北地方」の授業で設定した【海外からの修学旅行生に日本の生活・文化体験ツアーを企画しよう】でも同様で,「もっといろいろ体験させてあげたいのに時間が足りない」と行程を見直す様子や,「東北地方の魅力を知ってもらいたい,また来てもらいたいと思って案内した」などの振り返り記述が見られた。数か月後に修学旅行を控えた子どもたちにとって,このテーマはより身近で現実的だったと考えられる。 これらのことから,学校図書館で主体的にテーマを追究する上で,子ども自身が問いを立て,学びを広げたり深めたりするためには,教師が提示する学習テーマに様々なねらいが含まれていることや,それを子どもが身近で現実的なテーマとして追究できるよう支援する教師の関わりが非常に重要であるといえる。 この単元について学習指導要領解説社会編では,「自然環境に関する特色ある事象を中核として,それを人々の生活や産業などと関連付け」(16)て考えることが示されている。したがって,地域の特性を活かした「地域おこしプラン」を子どもたちに考えさせる学習テーマを設定した。この単元の授業はすべて学校図書館で行った。子どもたちに提示した学習テーマと子どもの活動を中心に,授業の流れを以下に示す。なお,【 】内は,子どもたちに提示した学習のテーマであり,< >内は,授業時間毎に提示した学習のめあてである。 【地方創生会議in九州 地方の特性を「活かす」】 第1時<九州の活かせるもの(こと)をさぐる><調べたことから自分の疑問を見つける>自然環境と地形の学習[一斉] 町おこしの事例を紹介[一斉]学習内容を学校図書館の資料で俯瞰 最初の素朴な問いを立てる[個人] 第2時<疑問をもとに何をどう活かすかをさぐる>第3時<人からのヒントをもとに何をどう活かすか考える>第4時<自分たちの県では何をどう活かすか,結果どうなるか,提案内容を考える><①根拠や見通しをはっきり示し,自分たちの考えを伝える>各々が学習したことを合わせてテーマを追究する。第5時<もらった意見や質問を活かし,自分たちの県についてクラスに再提案する><①他グループの学習が深まったり広がったりするために質問や意見を言う ①キーワードをどの分類に分けるかについて,葛藤したり,グループ内で話し合ったりする。 ②既習の単元と比較する。 (①②の例) 子ども同士の会話 S1:「奴隷」は歴史の分類に入れる? S2:いや,今も差別とかあるから“人権問題”の社会科学とちがう? 中学校 図書館教育 13 この授業実践は,その他の授業実践に先立って行った。この実践を通して得られた反省から,以後に行う授業実践について,次の点を見直した。まず,毎時間の授業で子どもに「学習内容」と「学習方法」について2つのめあてを提示したが,違いが明確でなく子どもが混乱する様子が見られたので,以後の授業実践では1つだけ提示するようにした。次に,グループでの学習内容を学級全体に対して発表する際,発表内容が整理できず,質問も活発に出ない様子が見られたため,以降の授業実践では,学級全体の発表の前段に中集団での発表を取り入れた。また,グループ内で交流する際は必ず全員が質問することとし,人の考えに対しても気付きや疑問をもつ力を付けられるよう意識した。更に,単元全体としての学習テーマが漠然としていたため,子どもたちの学習が思うように進まない様子が見られた。そこで,以降に行う授業実践では条件等を併せて提示し,学習テーマが子どもにとってより具体的で身近になるよう意識した。 第2節 子どもの学びの広がりと深まり (1)多面的・多角的な見方・考え方 本項では,「分類ワークシート」を活用した学習について述べる。子どもの学習の様子を観察した結果,特に次のような様子が見られた。 ②相手の学習が広がったり深まったりするために質問や意見を言う>グループの中で自分の学習したことを伝え,質問や意見をもらって発展させる。[小集団]②他グループの提案を客観的に評価する>学級でグループの考えを発表する。[学級集団] ↓自分の考えが,どのようにレベル アップしてきたかを振り返る。[個人] [小集団]
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