自分との対話 学習と思考の過程を振り返る。①本(情報)との対話 第1段階② 人との対話 第1段階 ③ 本(情報)との対話 第2段階 ④ 人との対話 第2段階(発表①) グループの考えを数グループの 中集団内で伝える。 他グループからの疑問や意見をもとに 更にグループの問いを立て学習を深める。⑤ 人との対話 第3段階 (発表②)↓ グループの考えを学級全体に伝える。 個々の疑問をもとに問いを立て 学習を深める。自分の考えを人に伝える。 人からの疑問や意見をもとに問いを立て 学習を深める。 グループの問いを軸に学習テーマを追究する。教師による理解への導き他グループの学習内容も取り入れ 次の学習につながる問いをもつ。 分類ワークシート本との対話カード人との対話カード本との対話カード人との対話カード自分との対話カード問い問い問い問い問い問い第3章 自ら問いを立て学ぶ学習 (内容の取扱い) (前略)州ごとに様々な面から地域的特色を大観させ,その上で主題を設けて地域的特色を理解させるようにすること。その際,主題については,州の地域的特色が明確中学校 図書館教育 11 これらの「対話カード」は,図2-1に示した学習の流れを,ワークシート上に学習の手順として表したものである。「対話カード」で取り上げている「本との対話」「人との対話」「自分との対話」は,思考するときには本来,自然にすべての要素を組み合わせて使っているはずである。しかし,本研究では,子どもたちがより明確に意識できるよう,それぞれの要素に特化したものにした。これらの「対話カード」はすべて,最後に「問いを立てる」形式にし,次の学習に向けての問いをもって学習を終えられるよう工夫した。また,最後に問いを立てることで,学習が次へつながるように構成しているため,3種類のカードを組み合わせたりつなげたりしながら,学習を進めていくことができるようにした。 (2)基本的な授業の流れ 第1章で述べた「分類ワークシート」および前項で述べた3種類の「対話カード」を用い,学校図書館を活用した授業を行った。授業の基本的な流れについて,次に例を示す。 授業を組み立てる上では,次のような点に配慮した。単元全体を通して,「本から情報を得て子もつことができる。 ②教師が,一つの課題や単元全体を通して,子どもがどのように学びを進め,何を身につけたかを見取り,指導や評価に活かすことができる。 (10)稲垣佳世子 波多野誼余夫 『人はいかに学ぶか』中公新書 1989.1 p.18 (11)松下佳代 京都大学高等教育研究開発推進センター『ディープ・アクティブラーニング』 勁草書房 2015.1.20 p.45 (12)白水始 三宅なほみ 益川弘如 『学習科学の新展開:学びの科学を実践学へ』Cognitive Studies vol.21 2014.6 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/21/2/21_254/_pdf 2017.3.3 (13)前掲(11) p.46 ども自身が疑問や課題を発見し,じっくりと考える時間」「人と意見を交流しながら多角的に自分の学習をとらえ,新たな気付きや疑問を得て考える時間」「自分の学習過程を振り返り,次につながる問いを立てる時間」を区別しながら繰り返し,その時間の学習方法のねらいが,子どもにとって明確にわかるようにした。また一連の学習の中で,「問いを立てる→情報を得る→気付く・考える→更に問いを立てる→情報を得る…」という活動を明確にするために,それぞれのねらいに合った「対話カード」と「分類ワークシート」を活用した。授業の計画は,単元のねらいや学習テーマ,また,授業時数等に応じて流動的に行った。 これらの授業の実際について,次章で述べる。 本章では,京都市立中学校2校(以下「A校」「B校」という)で行った授業実践について述べる。対象学年はA校第1学年,B校第2学年で,いずれも社会科(地理および歴史的分野)の授業を5つの学級で行った。 本文中に掲載した子どもの記述は,子どもの実態が伝わりやすいよう,誤字脱字等を訂正前のものも,敢えてそのまま使用した。 第1節 授業実践の流れと学習テーマの設定 本節では,A校,B校で行った複数の授業実践の中から,二つの例を示す。 <A校 中学1年地理 世界の諸地域「アジア州」>この項目の取扱いについて,中学校学習指導要領解説社会編には次のように示されている。
元のページ ../index.html#13