001総教C030705H27最終稿(中山)
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A先生 B先生 C先生 D先生 E先生 F先生 この表でも示されたように,6人の先生のうち,今回の「生徒による自己評価」の研究を導入したことで,どのような効果が加味されたかの検証も行ったので,併せて次項に詳述する。 (3)持ち回り道徳の実践取組 A中学校ではまず,担任が自クラスでの道徳の授業を行った後,次週から他クラスを持ち回る形式をとった。従来の認識では,道徳の授業の効果は担任が自クラスで行った授業が最も高く,生徒理解が少ない他のクラスでは,効果は低くなる結果が出るはずである。 しかしながら,2週目以降,持ち回り授業の記録を分析した結果,興味深い結果が出た。検証は担任クラスで生徒が評価した学びの尺度の平均値を出し,その値と他のクラスで行った全ての尺度の平均値とを比較するという方式である。他のクラスを全て合計して平均を出すのは,道徳の受け止めはクラスごとに差が大きい場合があり,どこかのクラスを抽出せず,母数を多く取って平均値を出す方がより正確になると考えたからである。 初回と2週目以降の比較を以下の表3-1にまとめ,高い方の評価を網掛けで示す。 表3-1 持ち回り道徳の初回と以後の授業平均の比較1 初回授業(担任クラス) 2週目以降の平均 4.23 4.45 4.03 4.01 4.14 3.73 5人の先生の授業において自クラスで行った初回の授業より,担任以外のクラスで行った2週目以降の授業の評価は向上した。また唯一,評価の向上が現れなかったB先生の場合も,実は初回授業(担任クラス)の評価が「4.45」と非常に高い値が出ており,そこから,受けもっている授業に対して,改善の余地がほとんどなかった可能性が高い。 また,初回の評価の集計が低かった先生ほど,2週目以降の授業の評価は大きく向上しており,その点でも今回の研究と持ち回り道徳のねらいとの相性の良さがわかる。 通常では道徳の授業において,生徒理解度が高い担任クラスに優位性が存在すると考えられているが,生徒による自己評価での検証を加えた持ち回り道徳ではそれを上回る成果が挙げられたこと4.28 4.32 4.10 4.14 4.41 4.14 中学校 道徳教育 20 がわかる。このことは,生徒による自己評価を参考に,2週目以降に授業展開へ手直しが重ねられた結果が出ていると考えられる。 具体的に特定の先生に焦点を当てて検証する。今回,2週目以降が向上したA先生が行った持ち回り道徳で,生徒が自己評価した五つの項目についての記録を,初回に行った担任クラスと2週目以降の他クラスの平均とで比較したものが以下の表3-2である。 表3-2 持ち回り道徳の初回と以後の授業平均の比較2 この表からわかることは,向上したのが「共感・感動することがあったか」「自分のこれからの考え方に影響はあったか」「考えたことを大切にしていこうと思えたか」の三項目であり,初回授業 の担任クラスで他の授業より上だったのは「深く考えることができたか」という一項目のみであった。教材自体は変わることがないので,「教材・資料は心に響いたか」の評価値が変わらないことはある意味当然だともいえる。 それでは他の項目について,なぜこのような差が表れたのかというと,初回の授業を受け,生徒の授業での反応や評価を踏まえ,授業プランを改善したことが挙げられる。 具体的には,初回の担任クラスでの授業は,教師が生徒を指名して考えさせるオーソドックスな形式をとっていたが,2週目以降は評価の低かった項目に当たる「自分で考え,他者との考えの交流で磨かれて獲得された新しい価値観を未来に受け継ぐ」学びを刺激するために,授業の展開で生徒同士のアクティブラーニングを中心に据え,意見交流させる授業形式に改善された。その効果は数値にも如実に表れ,「深く考えることができたか」については,教師との交流が有効だが,「共感・感動することがあったか」「自分のこれからの考え方に影響はあったか」「考えたことを大切にしていこうと思えたか」という項目では,生徒同士の交流で,より効果を上げられたことが示されている。 担任クラスであれば生徒理解は他のクラスよりも深いとすると,やはり,出されたねらいに向け,共感・感動することがあったか 深く考えることができたか 自分のこれからの考え方に影響はあったか 考えたことを大切にしていこうと思えたか 教材・資料は心に響いたか A先生の「持ち回り道徳」 初回 4.23 4.31 4.26 4.25 4.17 4.22 4.20 4.30 4.31 4.31 2週目~

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