001総教C030705H27最終稿(中町)
9/32

平成25年6月に閣議決定された教育振興基本計画の中では,「子どもたちに基礎的・基本的な知識・技能と思考力・判断力・表現力等,主体的に学習に取り組む態度などの確かな学力を身に付けさせるため」,①「物事を多様な観点から論理的に考察する力」②「自ら課題を発見し解決する力」③「他者と協働するためのコミュニケーション能力」(20)などの育成を重視することが述べられている。この三点について筆者の考えを述べる。 第1節 学校図書館を活用する意義 (7) 国立教育政策研究所「教育課程の編成に関する基礎的研究報告書5 社会の変化に対応する資質や能力を育成する教育課程編成の基本原理」 平成25年3月 p.9 http://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pdf_seika/h25/2_10_all.pdf 2016.3.4 (8) 前掲(7) p.12 (9) 教育再生実行会議「これからの時代に求められる資質・能力と,それを培う教育,教師の在り方について(第七次提言)」平成27年5月14日 p.1 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/dai30/siryou1.pdf 2016.3.4 (10) 前掲(9) p.2 (11) 前掲(7) p.83 (12) 子どもの読書サポーターズ会議「これからの学校図書館の活用の在り方等について(報告)」 平成21年3月 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/meeting/__icsFiles/afieldfile/2009/05/08/1236373_1.pdf 2016.3.4 (13) 国立国会図書館キッズページ「図書館じてん」http://www.kodomo.go.jp/kids/words/05010.html 2016.3.4 (14) 法律第913号「学校図書館法の一部を改正する法律」第6条第1項 2014.6.27 (15) 文部科学省 国立教育政策研究所「平成26年度全国学力学習状況調査報告書」 2014.8 (16) 前掲(15) (17) 吉田夏紀「学校図書館機能の活用を通した,主体的に学び続ける力の育成‐9年間の学びをつなぐ,各教科等における学習活動・読書活動の在り方‐」『平成25年度研究紀要』京都市総合教育センター 2015.3.3 p.5 (18) 前掲(15) (19) 前掲(15) た」「どちらかといえば,行った」と肯定的な回答を選択した学校の平均正答率が,全ての教科で高いことがわかる。従って,学校図書館で図書資料を活用した授業を行い,子どもたちに資料の調べ方が身に付くよう指導することは,子どもの学力を向上させるために一定の効果があると考えられる。 これらの調査結果から,学校図書館を活用して授業を行うことは子どもの学力を向上させるために効果的な方法であると考えられる。しかし,図1-3(p.5)からもわかるように,学校図書館の活用が日常的に行われていない現状では,「学習・情報センター」としての機能が十分に活用されているといえるだろうか。そこで,学校図書館を活用する学習モデルを提示し,各教科等の授業で学習・情報センターとしての学校図書館を活用する意義や方法について研究を進める。 中学校 図書館教育 7 まず①について述べる。物事を「多様な観点」から論理的に考察する学習をするには,「多様な観点」が,子どもの頭の中で整理されている必要がある。例えば,ある課題についてインターネットで検索したとする。多くの情報が検索結果として表示され,子どもはその情報をもとに考察しようとする。このとき,子どもの意識の中で「多くの情報から考察した」=「多様な観点から考察した」と認識される可能性がある。しかし「多様な観点」とは,同じ種類の情報を複数使うことではなく,複数の異なる観点から物事を見て,多面的・多角的にとらえることであろう。子どもが多様な観点から考察するためには,活用しようとしている情報がどの観点から対象をとらえた情報なのか,頭の中で整理されていなければならない。そして,他に検討するべき観点からの情報はないのか考えて,情報を収集しなければならない。図書分類は,この「観点」を体験的に学ぶ有効な手段であると考えた。中学校の教育課程では,教科ごとに事象をとらえる観点が異なる。これに加えて,図書分類を活用することで,図書の排架という目に見える環境で,情報を整理する観点を学ぶことができる。また,図書分類と教科の観点を関連付けてとらえることで,各教科の観点をより明確にしたり,教科と教科のつながりを具体的に感じ取ったりすることもでき,子どもの多面的・多角的な思考力を育成することができると考える。また,インターネット等の情報を活用する際,情報の真偽を確かめ,出典にあたる必要もある。図書分類を手掛かりに情報の整理ができれば,このような点でも学習を円滑に進めることができる。 次に②について述べる。「課題を発見し解決する力」を育成するためには,どのような学習方法が効果的だろうか。奈須は,「『答え』は『問い』の数だ第2章 各教科等の授業で活用する学校図書館

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る