る回答結果が図1-5である。 図1-5を見ると,「各教科等で学校図書館を活用した授業が行われない理由」として,中学校教員の半数以上が挙げた項目は,「教職員が,各教科等で学校図書館を活用する授業の具体的なイメージがもてていない(65.6%)」「教職員が,学校図書館を活用する意義や方法について共通理解していない(56.3%)」「専任で学校図書館に関わることのできる教職員がいない(56.3%)」「教職員が,学校図書館にどのような資料があるのか把握していない(50.0%)」であった。 「専任で学校図書館に関わることのできる教職員がいない」については,京都市では平成27年度より図書支援員を全中学校区に配置している。この施策により,以前に比べ状況が改善されると期待できる。「学校図書館を活用する授業の具体的なイメージがもてていない」については,平成26年度に京都市教育委員会が「中学校学校図書館活用実践事例集」をまとめ,現場の教員が具体的な授業のイメージをもちやすいよう,指導案等を示している。「教職員が,学校図書館にどのような資料があるのか把握していない」の結果からは,教職員が学校図書館に足を運んでいない状況が推測できる。これは図1-4に示された結果とも関連すると考えられる。 図1-5の結果で筆者が最も注目した項目は「教職員が,学校図書館を活用する意義や方法について共通理解していない」である。中学校で学校図書館活用が進みにくい背景には,各教科担任が授業で学校図書館を使う意義や必要性を強く感じていないことが原因の一つではないかと考える。これについては,第2章以降で述べる。 表1-1は,平成26年度全国学力・学習状況調査報告書(18)の生徒質問紙において「読書は好きですか」の質問項目に対する回答と平均正答率を示したものである。 表1-1 質問事項「読書は好きですか」に対する回答と平均この調査結果を見ると,「当てはまる」「どちらかといえば,当てはまる」と肯定的な回答を選択した生徒の平均正答率が,全ての教科で高いことがわかる。したがって,読書が好きなことと,この調査で測られた学力との間には関連があるといえる。この質問項目では一般的な読書について尋ねているため,学校図書館の活用,更には授業での活用と,直接関連するとは言い切れない。しかし,読書が子どもの学力に一定の影響を与えるとすれば,「読書センター」と「学習・情報センター」の機能を併せもつ学校図書館を授業で活用することは,子どもたちの学力に何らかの効果をもたらすのではないかと考える。 表1-2は同調査(19)の学校質問紙において「調査対象学年の生徒に対して,前年度までに,本やインターネットなどを使った資料の調べ方が身に付くよう指導しましたか」の質問項目に対する回答と平均正答率を示したものである。 表1-2 質問事項「資料の調べ方が身に付くよう指導しましこの調査項目は,インターネットも含めた資料の調べ方についての質問であるが,やはり「よく行っ①当てはまる ②どちらかといえば,当てはまる ③どちらかといえば,当てはまらない ④当てはまらない ①よく行った ②どちらかといえば,行った ③あまり行っていない ④全く行っていない 当該選択肢を選んだ生徒の平均正答率 選択肢 国語A 国語B 数学A 数学B 77.5 71.3 68.6 63.8 選択肢 当該選択肢を選んだ学校の平均正答率 国語A 国語B 数学A 数学B 81.1 79.6 78.1 60.2 80.3 61.9 54.0 77.7 57.1 51.2 76.6 55.3 45.4 73.2 50.0 53.7 69.6 62.6 51.2 67.4 59.9 49.1 65.4 57.5 図1-5 各教科等で学校図書館を活用した授業が行われない理由 正答率 たか」に対する回答と平均正答率 中学校 図書館教育 6
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