第1節 今求められる資質・能力 (1) 文部科学省中央教育審議会「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」2014.11.20 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1353440.htm 2016.3.4 (2) 内閣府「平成26年度青少年のインターネット利用環境実態調査調査結果(概要)」2015.3 http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h26/net-jittai/pdf/kekka_sokuhou1.pdf p.6 2016.3.4 (3) 前掲(1) (4) 前掲(1) (5) 文部科学省「大学図書館の整備について(審議のまとめ)-変革する大学にあって求められる大学図書館像-」用語解説2010.12 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/attach/1301655.htm 2016.3.1 (6) 京都市教育委員会「第3次子ども読書活動推進計画」2014.3 http://www.city.kyoto.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000164/164877/keikakusassi.pdf p.16 2016.3.4 多角的にとらえ,解決する学習モデルを開発する。今年度は,中学校社会科の授業を通して開発に取り組む。また,各教科等をつなぐ学びも視野に入れ,研究を進める。 産業社会から知識基盤社会へと社会構造が大きく変化している今日,教育の在り方も転換をせまられている。産業革命以降,多くの国は工業生産を基礎として発展してきた。そのため学校は社会の求めに応じ,画一的な方法や答えを共有し,全員に同じ内容を教授することで,産業の発展に資する人材を広く育てる教育を行ってきた。また,そうすることによって教育のすそ野を広げてきた。しかし,急速に変化する社会の中では,常に新しい課題が生まれるため,既存の知識を得ることに・ラーニング・コモンズ 複数の学生が集まって,電子情報も印刷物も含めた様々な情報資源から得られる情報を用いて議論を進めていく学習スタイルを可能にする「場」を提供するもの。その際,コンピュータ設備や印刷物を提供するだけでなく,それらを使った学生の自学自習を支援する図書館職員によるサービスも提供する。(5) ・学校図書館大改造 学校図書館の蔵書を一冊ずつ点検し,日本十進分類法に基づく図書の配架や書架の移動など大がかりなレイアウト変更を行う取組。(6) 中学校 図書館教育 2 とどまらず,それらの知識を統合し,正解のない課題を解決する力が必要とされる。 平成25年3月,国立教育政策研究所が出した「教育課程の編成に関する基礎的研究報告書5 社会の変化に対応する資質や能力を育成する教育課程編成の基本原理」(以下「報告書5」という)には「知識基盤社会とは,新しい知識やアイデア,技術のイノベーション(創出)がほかの何よりも重視される社会である」(7)と記されている。知識基盤社会を生きる子どもたちには,既存の知識や方法にとどまらず,「情報や知識を入手し,それを統合して新しい答えを創り出す力」(8)を付けていく必要がある。 また,平成27年,教育再生実行会議が出した「これからの時代に求められる資質・能力と,それを培う教育,教師の在り方について(第七次提言)」(以下「第七次提言」という)の中には「近い将来には,様々な労働が機械に置き換わるだけでなく,頭脳労働の一部が人工知能に代替されたり,高度な頭脳労働において人工知能が人間のパートナーとなったりする時代が来る」(9)と記されている。従来人間が担ってきた肉体労働や頭脳労働が機械に置き換わるとすれば,人間は機械では代替できない能力を磨き,発揮していく必要がある。第七次提言では,人間が優位性をもつ資質・能力として「あらかじめ正解のない問いや自ら設定した課題に挑戦していく活動」「創造性や高い専門性を発揮して行う活動」「人間の感性や思いやりが求められる活動」(10)の価値がこれまで以上に高まると述べられている。学校教育では,これらの資質・能力を育成することを意識して,教育活動を行うことが求められる。 更に「報告書5」では「社会の変化に対応できる汎用的な資質・能力を教育目標として明確に定義する必要がある」「資質・能力の育成は,教科内容の深い学びで支える必要がある」(11)とも述べられている。汎用的な資質・能力とは,ある問いに対応する答えを多く身に付けることではなく,存在する知識や情報を収集し,統合し,最適解を導き出したり,新しい価値を生み出したりする思考の過程を構築できる力であると考える。思考の過程を豊かに身に付ければ,また,思考の過程そのものを応用発展させることができれば,別の課題を解決する場合や,容易に解決できない課題に直面した場合でも,主体的に考え,問題解決をはかることができるだろう。そのためにはなぜその考えが生まれたのか,どのような過程を経てその第1章 これからの時代に求められる資質・能力と学校図書館
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