001総教C030705H27最終稿(中町)
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平成26年11月に出された『初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)』(以下「諮問」という)の冒頭は「今の子供たちやこれから誕生する子供たちが,成人して社会で活躍する頃には,我が国は,厳しい挑戦の時代を迎えていると予想されます」(1)という文章で始まっている。情報通信技術の急激な発展により,手元の端末から,求める知識・情報が瞬時に得られる時代になった。これまでの学校教育では,基礎的な知識を子どもたちに習得させることに多くのエネルギーを割いてきた。しかし,もはや情報はコンピュータに記憶され,インターネット上には様々な「答え」が溢れている。子どもたちの日常にはインターネットに接続できる機器が身近にあり,情報検索はもとより,隣にいる友人との会話まで,SNS(Social Networking Service)などのインターネットを介して行う様子が見られる。内閣府の調査によれば,中学生のインターネット利用時間は1日平均130.2分,1日2時間以上インターネットを利用している中学生は47.4%(2)と半数近い。このような現状にある子どもたちに,今求められる資質・能力とはどのようなものなのか。 前述の諮問には,新しい時代に必要となる資質・能力の育成に関連した,OECDをはじめとする様々な教育の取組の共通点として,「ある事柄に関する知識の伝達だけに偏らず,学ぶことと社会とのつながりをより意識した教育を行い,子供たちがそうした教育のプロセスを通じて,基礎的な知識・技能を習得するとともに,実社会や実生活の中でそれらを活用しながら,自ら課題を発見し,その解決に向けて主体的・協働的に探究し,学びの成果等を表現し,更に実践に生かしていけるようにすることが重要であるという視点」(3)が挙げられている。現代の子どもたちは,ある事柄についての疑問や課題が生まれたとき,インターネットで容易に「答え」にあたる情報を検索することができる。しかしその活動は,他者によって考え出された知識や情報を見つけることにすぎず,子どもたち自身が思考力を働かせて答えを創り出したことにはならない。知識や情報を探したり,得た情報通りのことを実行に移したりするだけならば,機械や人工知能にも可能な時代である。これからは,人間だからこそできる多様で自由な発想や行動を身につけ,既存の知識・技能をもとに新しい価値を創造する力が,今まで以上に必要とされる。中学校 図書館教育 1 そのためには,単に答えや方法がわかるのではなく,なぜその答えなのか,その方法にどのような意味があるのかなど,考えが構築された過程や背景を知り,応用発展させる能力を身に付けなければならない。 また前述の諮問では「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)や,そのための指導の方法等を充実させていく必要があります」(4)とも述べられている。アクティブ・ラーニングに関する指導方法については様々な研究が成されているが,筆者は指導方法の一つとして,学校図書館を活用した学習を取り入れることが効果的ではないかと考えた。 情報通信技術がこれほどまでに発展する前,人は知識や情報を得るために,書物を多く利用していた。書物には,過去の人たちが考え出した知識や技能,感情に至るまで,様々な情報が収められている。それらを収集し伝え残してきたのが図書館である。図書館で読書や学習をすることは,先人たちの考えやその根底に流れる理念など「考え方」を学ぶ深い学びの機会となり得る。また,図書館では資料は一定のルールに従って整理されており,それぞれに分野のまとまりをもち,各分野の観点から事象をとらえた資料が系統性をもって並べられている。もちろんこのような図書館の機能は学校図書館にも備わっている。そこで,教科学習での学校図書館活用を通して,子どもたちは多面的・多角的に事象をとらえる体験をすることができ,また,各分野を関連付けて考える体験をすることができるのではないかと考えた。そしてこの体験が,インターネットも含め,様々な情報を活用し,実社会で課題を解決する力につながるのではないかと考えた。 ラーニング・コモンズを併設する大学図書館など,図書館は今,静かに本を読む空間という側面だけでなく,様々な表情をもつ場へと変化している。学校図書館も,本を選び読書に親しむ「読書センター」としての役割だけでなく,他者とコミュニケーションしながら,様々な媒体からの情報をもとに新しい価値を創造する場,つまり「学習・情報センター」としての役割を増すと考えられる。 京都市の小中学校では平成27年3月までに「学校図書館大改造」を終えた。この事業により本市学校図書館でも,読書活動はもちろんのこと,学習活動を支援する機能の充実が図られている。 そこで本研究では,学校図書館機能,特に図書分類に着目し,各教科等の授業で課題を多面的・ はじめに

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