001総教C030705H27最終稿(中町)
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これらの回答からは,1年生の調査結果と同様,  東北地方は何が栄えているのか一目でわかった。  どこに分類するか悩んだりして,いろいろな見方をす いろいろな視点から見て全体を把握するのに役立った。  物語からも東北の特徴がわかることを初めて知った  何かを調べるって楽しいんだなーと思いました。それ コメのことだけを書いた本があってびっくり!  農業の工夫に気付いた。 a~eの項目に「とても」「まあまあ」と肯定的に回答した子どもはa:70.2%,b:61.7%,c:70.7%,d:65.2%,e:75.0%であった。 次に,自由記述で回答する調査項目に対する回答について述べる。 調査項目「分類ワークシートで学習した感想」についての回答の一例を示す。 学習内容全体が見渡せたことや,多角的な観点から学習内容をとらえられたことがわかる。一方で「あんなので覚えられるわけない。テストに出したら許さない」「分類する意味がよくわからない」「いつもの授業のほうがわかりやすかった」などの否定的な記述も全体の1/4程度見られた。また肯定的な記述と併せて「その言葉の意味を理解していないとわからなくなる」「自分の意見を作るには単語だけでは難しい」などの難点を答えているものも約1割あった。これらの記述を見ると,多角的な観点から学習内容をとらえようとしている子どもがいる一方で「覚えること」に重点を置いて学習しようとしている子どもがおり,後者にとってこの学習方法は,全く馴染まないものであったと考えられる。また,分類ワークシートを使う意図が子どもたちに伝わっておらず,この学習のねらいが理解されていなかったことも考えられる。更に,1年生と比較して肯定的な記述が少なかった理由として,発達段階から,既に様々な観点で物事を見る感覚が獲得されている子どもがいた可能性も考えられる。そのような子どもにとっては,ことさら,図書分類を使う意義が感じられなかったかもしれない。しかし,図書分類を活用する意図は,あらゆる分野が含まれる観点であるというところにある。その意図を子どもたちに十分に伝えてから,授業を行う必要があったと考える。 調査項目「図書館を利用した学習で新しい発見や興味をもったこと」についての回答の一例を示す。 これらの回答からは,思いがけない観点から学習内容をとらえられたことや,自ら学ぶ楽しさを感じていること,予想外の資料に出合っていることなどがうかがえる。 調査項目「図書館を利用した学習で良かった点,困った点」についての回答の一例を示す。 これらの記述からは,複数の筆者の考えに触れ,多角的にとらえる体験ができたことや,自ら学ぶことに意義を感じている様子などがうかがえる。また,コンピュータや携帯電話と比較して肯定的にとらえている記述も見られた。子どもにとって,学校図書館で資料が図書分類ごとに並んでいる環境は,一人一人がコンピュータ画面の中を覗き込むようなインターネット検索に比べ,物事を俯瞰して見るような体験になっているのではないだろうか。更に,他の記述式の項目には回答しなかったり,否定的な回答だったりした子どもも,この項目には肯定的な内容の記述をしており,このことから子どもたちのほとんどが,学校図書館での学習について肯定的にとらえていると考えられる。 困った点で子どもが挙げた「ピンポイントで調べられない」という記述は,インターネット検索に慣れた世代の子どもたちにとって当然の困りであると考えられる。また,同じ子どもが「図書館で調べることが楽しかった」と回答した一方で「探すのはめんどうだった」と回答する例も複数あった。1年生のアンケート調査では「(資料が)見つかりにくかったけど,いいテーマの本を見つけると『やっと見つけた!』と思うとすごくうれしかった」「自分で調べたいことが載っている本をさがして,そこからいろいろ調べたりするのが楽しかった」などの記述が複数見られた。このように,簡単には手に入らない情報や答えを探す楽しみや,一つの情報から新しい課題を見つけて学びを進めていく喜びを子どもたちが感じるためには,このような学習を更に積み重ねたり,他にも指導方法ることができた。 に,いろいろな本があったので驚きでした。 ◇良かった点  詳しく調べられる  自由に調べられる  要点をまとめる力がつく  筆者によってとらえ方が違うことがわかった  自分で調べると頭によく入り,理解力が高まる  本で調べるのもいいなと思った。コンピュータやケータイ(携帯電話)より新鮮な感じがした。 ◇困った点  資料が多すぎてどれを選んだらいいかわからなかった  探すのがめんどう  ピンポイントで調べたいことが本に載っていなかった  テーマに合った本を探せなかった 中学校 図書館教育 27

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