図4-3 図書館を利用した学習についての調査(二校比較) 二校で「とても」と回答した子どもの割合を比較すると,a:A校がB校の約2.0倍,b:A校がB校の約1.9以下のような内容が多く見られた。 ⅰ,ⅱ,ⅲから,子どもたちは資料を使うとき,複数の異なる観点から情報を集めようとしたと考えられる。また,ⅳのように一つの情報から関連した他の情報へと学習を発展させていったり,ⅴのように一つの内容を深く掘り下げようとしたりしたこともわかる。また,これらの回答が自由記述に見られるということは,複数の子どもたちが情報の分野や,物事を見る観点を意識していると考えられる。 また「学習全体を通して感じたことや考えたこと」を問う項目に対して,記述内容の類似したものを抽出し集計したところ,以下のような内容が多く見られた。 ⅰ,ⅱから,学校図書館を活用した学習を通して,子どもが自分自身で考えたり,新しいことに気付いたりしたことがわかる。また,ⅳ,ⅴからは,資料を活用する力や多角的にものを見る力がついたと子ども自身がとらえていることがわかる。更にⅲからは,子どもが学習内容について,広がりや深まりを感じていることがわかる。他にも「本を通して考えをもったり改善策などをたてたりして楽しかった」「自分で調べるのでやる気がわく」「意見交換がしやすい」など,自分自身で学んでいくことや子ども同士で学んでいくことに意義を感じている記述や,「班での会話が増え,様々な視点からのアドバイスももらった」など,子ども同士のアドバイスにも様々な観点があることを感じ取っている記述,「どうやったら見ている人に,文字だけで共感を得ることができるのか考えた」など,自分が学んだことをどう伝えるかという表現方法まで考えている記述が見られた。一方で,「本を見つけるのがたいへんだった」「まとめるのが苦手で時間がかかった」などの記述もあった。しかし,このような否定的な記述は少なく,「今回はうまくまとめることができず満足していないが,次回また頑張りたい」のように次のステップを見据えた意欲的な記述も見られた。 中学校 図書館教育 25 アンケート2Aでは「世界のさまざまな地域の調査」の学習で「テーマを決めるとき,またそのテーマについて深く調べて行くとき,意識したことや工夫したこと」についても項目を設けた。その記述内容について類似したものを抽出し集計したところ,以下のような内容が多く見られた。 ⅰからは,「分類ワークシート」が追究テーマの決定に活用されていることがわかる。ⅱからは,自分で設定したテーマに対しても,多角的にとらえ,学習を進めていることがわかる。ⅲからは,一つの情報から関連した他の情報へと学習を発展させていることがわかる。ⅳからは,一つの内容を深く掘り下げようとしたことがわかる。また「いきなり国調べをするのではなく,先にその他の州のことについて調べたのでやりやすかった」との記述もあり,段階を踏んで学習したことに効果を感じている子どもがいることもわかる。中には「今回の(学習)は1人でやったけどちゃんとできた」「ちょっと心配やったけど頑張れた」と,グループでの学習を通して,個人での学習ができるようになったことを喜ぶような記述もあった。 図4-3は「図書館を利用した学習」についての調査結果をA校とB校で比較したものである。 a b c d e i. 複数の分類から情報をさがそうとした ii. 複数の資料から情報をさがそうとした iii. 複数の異なる情報をさがそうとした iv. 一つの情報から関連する他の情報をさがそうとした v. 一つのテーマをふかめようとした i. いつもより自分で考えることができた ii. 新しい発見があった iii. たくさん知ることができた,詳しく知ることができた iv. 資料を活用する力がついた v. 多角的にものを見ることができた i. 書き出したキーワードを活用してテーマを絞った ii. 複数の本や複数の情報から多角的にとらえようとした iii. 一つの情報から関連する他の情報をさがそうとした iv. 一つのテーマを深く,詳しく調べようとした
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