図3-21 「世界のさまざまな地域の調査」授業の大まかな流れ 見えていることで,学習の到達点が常に意識できたのではないかと考える。更に,このようなワークシートであれば,指導者が提出されたワークシートを見た時にも,子どもの思考の流れがよくわかり,パフォーマンス評価などの評価にもつなげることができるのではないかと考える。今後の課題として,「情報ワークシート」を活用する際には,意図的に矢印を書き込ませるなど,更に工夫が必要である。 今回の授業実践では,統計資料などを読み取って考える学習課題が設定できなかった。学校図書館の資料から,統計資料が多用されているものを選んで使っていた子どももいたが,絶対数は少なかった。学習課題の設定の仕方について,更に工夫が必要である。 第3節 様々な情報を活用して自ら課題を設定し追究するための授業 本節では,図2-4(p.9)に示した「様々な情報を活用して自らの課題を追究する」授業について述べる。 (1)授業の概要 本授業の対象学級はA校第1学年5学級である。この授業では,課題設定のために図2-5(p.10)の「分類ワークシート」を用いた。 <中学1年地理 「世界のさまざまな地域の調査」> この単元の大まかな流れを図3-21に示す。 第1時,子どもたちは,学校図書館で興味のある国や地域の資料を選び,「分類ワークシート」にその国や地域に関するキーワードを書き出した。図3-22 テーマ設定に使われた「分類ワークシート」 「4自然科学」のところに○印がついている。この子どもになぜ○印をつけたのか尋ねたところ「オーストラリアを調べたいなと思って,キーワードを書いてみたら,自然科学のところにいっぱいキーワードがあったから,自然科学に特徴があるのかなと思った」と答えた。この子どもは,図書分類の観点を手掛かりとして,国の特徴をとらえ,テーマ設定に活かしていると考えられる。 中学校 図書館教育 18 国や地域全体に視野を広げた後,自分が追究したいテーマを決め,それに関する資料を探した。資料の数や分類に制限は設けなかった。調べたテーマについて,A4サイズの用紙1枚にまとめた。まとめる形式も自由とした。学校図書館を使える時間は3時間とし,3時間中の時間の使い方も自由とした。授業後に,第3時までの授業で作成したレポートを掲示し,発表とした。 (2)授業を通して見えてきたこと 図3-22は,テーマ設定のために使用した「分類ワークシート」の例である。 また別の子どもは,スウェーデンの社会福祉をテーマにしていた。テーマ設定の理由を尋ねたところ「スウェーデンについてキーワードを書き出したら『社会科学』のところに国や社会のしくみについてのキーワードがたくさん入った。ということは,そこに特徴のある国だと思い,その中でも意味がよくわからなかった『社会福祉』について調べてみようと思った」と答えた。この子どもも,図書分類を手掛かりとしてテーマ設定をしていることに加え,「分類ワークシート」にキーワードを書き出したことによって新しい疑問が生まれ,学習が広がったと考えられる。 更にこのような例もあった。「シェイクスピア」
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