図3-18 一冊の資料を使い筋道を立てて情報を集めている例 この例では一つ目の情報で地球温暖化について調べ,二つ目の情報,三つ目の情報ではその対策として再生可能エネルギーやバイオマスエネルギーについて調べている。一冊の資料内で,自分の考えを説明する情報を適切に選んでいることがわかる。学校図書館で資料を活用して学習する際には,資料の筆者や編者によって内容に論理や系統が確立されている場合が多く,子どもは資料を順に読みこんでいくことによって,スムーズに考えを組み立てることができると考えられる。これは,学校図書館で学習する際に図書資料を活用する効果の一つである。 一冊の資料で調べていた。時間の都合上,一つ目の情報しか調べられなかった子どもが多かった。 一冊の資料の中で筋道を立てて情報を集めている例を図3-18に示す。 一つ目の情報 二つ目の情報 三つ目の情報 右上図3-19は,二冊の資料を使い興味関心を広げている例である。一つ目と二つ目の情報は同じ資料を使い,地球温暖化の影響について調べているが,三つ目の情報では異なる資料を使って「熱交換塗料」について調べている。一つ目と二つ目の情報は内容が似通っているのに対し,三つ目の情報は内容の分野に違いが見られる。この情報構成からは,独自の興味関心に基づいて情報を選び,自らの考えを発展させたことがうかがえる。一つ目,二つ目の情報で調べている内容は,他の多くの子どもが調べたものと同様のものであるが,三つ目の情報の内容は,他のどの子どもの「情報ワークシート」にも見られない情報であった。このよ 図3-19 二冊の資料を使い興味関心を広げている例 うに,同じテーマで学習を始めても,個々の子どもに合った独自の展開ができる点も,学校図書館で豊富な資料を活用し学習する効果の一つである。 図3-20 矢印等が書きこまれた「情報ワークシート」 このように思考の流れが書き込まれたのは,一枚のワークシート上に複数の情報とまとめを配置した効果ではないかと考える。一枚のワークシート上に複数の情報を集め,それらが同時に見える状態にすることで,子どもは情報を自分の頭で再構成したり,どの観点の情報を追加すればよいかを考えたりすることができたのではないだろうか。また,自分の考えをまとめて記入する欄も同時に中学校 図書館教育 17 一つ目の情報 二つ目の情報 三つ目の情報 <両校の授業実践を通して> この授業では図3-10(p.13)に示した「情報ワークシート」を使用した。授業の中で,この「情報ワークシート」に自主的に矢印などを書き込み,自身の思考の流れを表現しているものが複数見られた。図3-20はその一例である。
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