第2節 複数の観点から見た情報を関連付けて課 図3-11 世界の諸地域「南アメリカ州」授業の大まかな流れ これらのキーワードを見ると,子どもたちがアフリカ州について,それぞれの図書分類から教科書の範囲に縛られない情報を広く得ていることがわかる。上に挙げたキーワードのうち「イスラム教」は教科書の本単元に記載されているが,「ぶた肉」という情報が新たに加えられている。このことから子どもの中で,学習内容をより詳しく理解することに繋がったと考えられる。また「バオバブ」は「文学」の分類から集められた情報である。一見関連のなさそうな分野からもアフリカ州の情報を得ていることがわかる。また,「芸術」の分類では楽器や遊びに関するキーワードを見つけている。これらのことから子どもたちは,様々な観点から 題を解決するための授業 本節では,図2-2(p.9)に示した「複数の観点から見た情報を関連付けて課題を解決する」授業について述べる。 (1)授業の概要 本授業の対象学級はA校第1学年5学級,B校第1学年2学級である。この授業では,第1節で述べた「分類ワークシート」に加え,学校図書館で得た複数の異なる情報を組み合わせて課題を解決することを目的とし,右上図3-10に示すワークシート(以下「情報ワークシート」という)を用いた。これは,「情報カード」(図3-3 p.11)を複数組み アフリカ州をとらえるという体験ができたのではないかと考える。 B校では子どもたちが調べた情報カードを分類ごとに模造紙に貼り,「大きな分類ワークシート」を作り,図3-9のように廊下に掲示した。 この単元の大まかな流れを図3-11に示す。 第1時,第2時は地形や気候などについて簡単に学習した後,アフリカ州と同様,単元全体のキーワードを「分類ワークシート」に記入し,南アメリカ州の特色を,自然環境や他地域の特色と関連付けて説明するよう課題設定した。このような課題に取り組む際,子どもたちは教科書を参考に特色を挙げることが多い。すると,教科書の文をそのまま抜き出して説明することが多くなる。そこで「分類ワークシート」のキーワードを使って自分たちの言葉で説明するよう指示した。教科書は内容をより詳しく調べるために参照するようアドバイスした。 A校では第3・4時,B校では第3時,学校図書館図3-9 皆の情報をまとめた「大きな分類ワークシート」 【哲学・宗教】イスラム教(ぶた肉) 【歴史・地誌】OAU,猿人(人とサルの両方の特徴) 【社会科学】ズール族,小学校(1年生から7年生) 【工学・工業】古代エジプト文明,ピラミッド・スフィンクス(世界遺産) 【芸術】たいこ,ゴムボール,アラビア文字 【文学】バオバブ(乾燥した所に生える大きな木) ※【 】内は図書分類 図3-10 情報ワークシート 合わせたものである。 <中学1年地理 世界の諸地域「南アメリカ州」> 中学校 図書館教育 13
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